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超新星爆発が生命進化に残した痕跡 カリフォルニア大らの研究
地球から約3万5千年光年の位置にある超新星残骸 W49Bのイメージ (c) X-ray: NASA/CXC/MIT/L.Lopez et al; Infrared: Palomar; Radio: NSF/NRAO/VLA[写真拡大]
超新星爆発は、1つの銀河当たりで50年に1回程度の頻度で起こる。これは地球誕生後の46億年間で約1億回の超新星爆発が起こった計算になる。ただし地球に直接影響を及ぼすものは、比較的近い宇宙空間で起こったものに限られ、生命進化に痕跡を残したものはさほど多くない。
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カリフォルニア大学は、海洋堆積層で検出され、超新星爆発に起因するとされる元素Fe60の年代別堆積量を調べ、それらが生命進化に及ぼした影響について考察した研究結果を発表した。Fe60は鉄の同位体で、原子核内の中性子が一般的な鉄よりも4個多く、超新星爆発由来とされる。
研究によれば、現在から800万年前までの期間では、約200万年前と約600万年前にFe60の堆積ピークが出現しているという。約200万年前のピークは、超新星爆発による宇宙線被ばくによるもので、約600万年前のそれは超新星爆発起因のバブル空間を地球が通過した際に堆積したものであるとしている。
実は現在も太陽系はこのローカルバブル内を通過中で、そのサイズは幅約1,000光年で、数百万年前に形成されたものだという。
さらに約200万年前のFe60ピークは、地球から140パーセク(約460光年)離れたさそり座とケンタウルス座の境界領域か、地球から70パーセク(約230光年)離れたTucana-Horologium境界と呼ばれる領域で発生した超新星爆発に起因するものと推定。アフリカのタンガニーカ湖でのウイルス多様化の割合が、2~3割増加した時期に一致するという。
この時の超新星爆発は、生命を絶滅させるほど強力ではなかったものの、突然変異を生じさせるには十分な威力があったとしている。だが宇宙線強度がどの程度であれば、突然変異が増加し、どの程度であれば生命絶滅につながるのかまでは解明できていないという。
人類にとって、超新星爆発が脅威となるのは自身の進化に及ぼす影響よりも、ウイルスの多様化促進によるパンデミックの頻発ではないだろうか。ようやく新型コロナが落ち着き、平穏な暮らしが戻ってきたばかりだが、そろそろ起きてもおかしくないと噂されるベテルギウスの超新星爆発が気がかりだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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