ジェイエスエスは反発の動き、25年3月期1Q減益だが売上面は堅調

2024年8月26日 12:56

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ジェイエスエス<6074>(東証スタンダード)はスイミングスクールを全国展開し、スイミングスクール特化型企業では首位の施設数を誇っている。成長戦略として、水泳指導技術を活かした商品開発の強化を推進するとともに、スイミングにとどまらず健康運動への取り組みも推進している。なお同社に所属する玉井陸斗選手がパリ五輪の男子高飛込で銀メダルを獲得した。25年3月期第1四半期(連結決算に移行)は、前年同期の非連結業績との比較で減益だが、売上面は概ね堅調だった。通期連結業績予想については、子会社化したワカヤマアスレティックスの財務諸表を精査中のため未定とした。配当については増配予想を据え置いた。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響で急落する場面があったが、売り一巡して反発の動きを強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。

■スイミングスクール運営首位

 スイミングスクールを直営と受託で全国展開している。20年3月にニチイ学館<9792>との資本業務提携を解消し、日本テレビホールディングス<9404>と業務資本提携した。日本テレビホールディングスのグループ会社でフィットネスジムを展開するティップネス(スポーツ施設運営企業として業界3位規模)と協業してシナジー創出を推進している。

 24年4月1日現在の事業所数は、直営64カ所と受託21カ所の合計85カ所(うちコンパクトプールが直営13カ所と受託2カ所の合計15カ所)である。スイミングスクール特化型企業では首位の事業所数を誇っている。なお24年5月に、和歌山エリアで5事業所(スイミングスクール等)を展開するワカヤマアスレティックを子会社化した。同社として未開拓のエリアに進出する。

 児童発達支援および放課後等デイサービス事業「JSS水夢」については、2事業所目として22年12月にJSS水夢北神戸(仮称、兵庫県神戸市北区、JSS北神戸スイミングスクール内)を開設した。また、静岡県磐田市の福田屋内スポーツセンターおよび磐田温水プールの指定管理者(指定管理期間23年1月11日~28年3月31日)に選定された。

 24年3月期の部門別売上高は、スイミングスクール収入が75億43百万円(うち直営事業収入が63億33百万円、受託事業収入が7億68百万円、企画課外収入が4億40百万円)で、商品売上が5億59百万円、その他の営業収入が28百万円だった。

 24年3月期末の全事業所合計会員数は、子供会員数が23年3月期末比6.0%減の7万4154人、大人会員が2.0%減の9087人、合計が5.6%減の8万3241人だった。コース別会員数は選手・育成コースが4.8%減の4632人、ベビー・キンダーコースが13.3%増の1807人だった。

 スイミングスクール事業の強みには、総合フィットネスクラブとの比較で景気に左右され難いという点がある。入会から四泳法習得まで2~3年の安定した在籍が期待され、ベビーからの入会や選手コースへの進級で長期在籍の可能性も高まる。大人会員は高齢者が中心で、生涯スポーツ化も期待される。同社の強みとしては、国内最多のスイミングスクールを展開する業界唯一の上場企業としての豊富な出店・運営ノウハウの蓄積や、数多くのオリンピック選手やメダリストを輩出している指導力などがある。

 24年4月には、JSSあいの里スイミングスクール所属の河野通虎(こうの みちとら)選手が、8月21日~24日にオーストラリアのキャンベラで開催される第10回ジュニアパンパシフィック選手権の日本代表に選出された。

■商品開発を強化

 成長戦略として、コロナ禍収束による社会活動正常化を背景に会員数の回復に向けた各種施策を強化する。具体的には、各事業所での地域特性に合った入会キャンペーン(特にベビー・ジュニアの入会を促進)の実施、中高生クラスJSS部の推進、WEBによる認知拡大とブランディングなどを推進する。

 大人会員の集客戦略としては、水中バイクと水中トランポリンを利用したオリジナルプログラム「バイポリン&ウォーク」を各事業所で展開するほか、他社施設への販売拡大も推進する。

 ティップネスとの協業としては、地域の水難事故ゼロを目指し、子どもの命を守る「着衣水泳体験会」を開催するなど、連携を強化している。

 その他の施策としては、全国的に学校プール施設の老朽化や指導者不足により水泳授業の民間委託が増加している状況であるため、今後も自治体からの入札要請やインストラクター派遣要請に対して、積極的に対応していく方針だ。

■スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書

 22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編についてはスタンダード市場を選択し、スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。

 中期経営計画で掲げた経営戦略および重点施策を着実に実施することで、業績の向上および企業価値の向上(時価総額の増大)を図り、25年3月期までにスタンダード市場の上場維持基準を充たすよう各種取組を進めるとしている。

 24年6月には計画に基づく進捗状況をリリースした。24年3月末時点において流通株式時価総額が基準を充たしていないが、引き続き各種取組を推進するとしている。

■25年3月期1Q減益だが売上面は堅調、通期予想は未定

 25年3月期第1四半期の連結業績(当期より連結決算に移行)は、売上高が19億56百万円、営業利益が43百万円、経常利益が47百万円、親会社株主帰属四半期純利益が30百万円だった。

 前年同期の非連結業績(売上高19億81百万円、営業利益74百万円、経常利益80百万円、四半期純利益が52百万円)との比較で見ると、人件費の増加などにより減益だが、売上面は概ね堅調だった。期末時点の全事業所合計会員数は5.4%減の8万1909人となった。

 通期の連結業績予想については、子会社化したワカヤマアスレティックスの財務諸表を精査中のため未定とした。配当は据え置いて、24年3月期比50銭増配の15円(第2四半期末7円50銭、期末7円50銭)としている。連続増配予想である。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化の影響で急落する場面があったが、売り一巡して反発の動きを強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。8月23日の終値は466円、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約3.2%、前期実績PBR(前期実績のBPS728円29銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約19億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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