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需要拡大する産業ロボットに最適、業界初の電源ソリューション提供 ローム
ロボット業界を支える技術でも、日本の技術力が存在感を増してきている[写真拡大]
新型コロナウイルス感染症の影響もあって、自動化への需要が高まったことで、自動車等の製造や倉庫、物流の自動化など、多くの分野で産業用ロボットの導入が加速している。日本ロボット工業会が2023年5月に発表した年間統計によると、2022年の受注額は前年比3.1%増の1兆1118億円、生産額は8.7%増の1兆210億円、総出荷額も9.2%増の1兆509億円と、いずれも一兆円を突破する活況だ。また、米Report Ocean社の調査によると、産業用ロボットの世界市場規模は、2022年から2030年までの予測期間においてCAGR11.8%で推移し、2030年には1168億4,870万ドル(約15兆6579億円)に達すると予測されている。産業用ロボット分野において、日本メーカーのシェアは非常に高い。産業ロボットメーカーの世界4強に数えられるファナックや安川電機をはじめ、カワサキロボットサービス、セイコーエプソン、不二越などが世界シェアの上位に食い込んでおり、今後の動向にも大いに期待したいところだ。
そんなロボット業界を支える技術でも、日本の技術力が存在感を増してきている。例えば、制御電源もその一つだ。制御電源とは、各制御基板へ供給される電源のことで、1kW以下の中電力帯で動作する産業用ロボット機器や半導体製造装置等では、一般的にアナログ制御電源が数多く採用されており、生産性向上や品質管理に欠かせない要素となっている。
しかし、機器や装置の高度化・高性能化に伴って、電源にも高い信頼性や細かい制御が求められる傾向にあり、アナログ制御のみの電源構成では細かい制御や設定が難しく、市場要求に対応することが困難になってきている。とはいえ、フルデジタル制御電源では、搭載されるデジタルコントローラの消費電力が大きいことやコストが高いという問題があるため、30W~1kWクラスの小~中電力帯の電源においては採用が進んでいない。
そんな中、この課題をクリアする新しい電源ソリューションが誕生した。
高度なアナログ技術で世界からも高い評価を受けている日本の電子部品メーカーのロームが開発した電源ソリューションLogiCoA™は、フルデジタル制御電源と同等の機能をアナログ制御電源レベルの低消費電力、低コストで実現できる業界初の「アナデジ融合制御」電源だ。LogiCoA™マイコンを中心としたデジタル制御部分と、シリコンMOSFET等のパワーデバイスからなるアナログ回路を組み合わせることで、フルデジタル制御電源において高速CPUやDSP等のデジタルコントローラが担う機能を低ビットのマイコンで処理できるという。また、LogiCoA™マイコンに電流、電圧値等の各種設定値を記憶でき、電源回路に応じた周辺部品の性能ばらつき補正も可能なので、アナログ制御電源と比較して設計マージンを考慮する必要がなくなるため、電源の小型化や高信頼化にも貢献する。さらに、動作ログデータをマイコン内の不揮発性メモリに記録できるので、不具合時のバックアップとしてログの記録が求められる産業機器の電源にも最適だ。同社では4月からLogiCoA™電源ソリューションの提供を開始。ソリューションに搭載されているLogiCoA™マイコンの量産も6月から開始されている。
日本は現在、産業用ロボットの出荷台数・稼働台数で中国とシェアを争う産業用ロボット大国だ。世界的に需要が拡大する中、技術力の高い日本のロボットメーカーの躍進に期待したい。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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