関連記事
日銀マイナス金利解除の見方
(c) 123rf[写真拡大]
●大規模緩和策の修正を決定
日本銀行は、18日-19日の金融政策決定会合で、大規模金融緩和策の修正を賛成多数で決め、マイナス金利政策を解除した。
【こちらも】春闘満額回答で日本経済回復と日経平均さらなる上昇に期待か!?
利上げは2007年2月に無担保コールレートの誘導目標を0.25%から0.5%に引き上げて以来、17年ぶりとなる。
この決定を受けて、19日の為替相場は1週間半ぶりに1ドル=150円台と円安が進んだ。日経平均も263円高となり、4万円台を回復している。
マイナス金利の解除・金融緩和の修正は、円高・株安要因とも見られていたが、結果的に織り込み済みだったのか、逆に円安・株高へ誘導する結果となった。
●マイナス金利解除を巡る攻防
3月7日、ブルームバーグが日銀のマイナス金利解除方針を報道したことで、日経平均が急落する場面があった。19日は、マイナス金利の解除は午前中から報道されており、事前にあえてリークし混乱を避けたという見方もある。
YCC(イールドカーブコントロール)は撤廃し、上場投資信託(ETF)の新規買い入れの停止なども発表された。日銀・植田総裁も異次元の緩和は終了と会見で述べている。
ただし、金利の急上昇などを避けるため、緩和的な金融環境の継続や国債の買い入れなどは維持される。
●追加の利上げはあるのか?
金融政策決定会合後の記者会見で、植田総裁は「物価と賃金の好循環の強まりが確認できた」と述べつつも、「現時点の見通しなら緩和的な金融環境が継続する」とも発言した。
大規模緩和の終了を宣言しつつも、一部で緩和的な環境を継続するというバランスを取った発言だった。
国債先物は米国の長期金利上昇を受けて売られていたが、材料出尽くしで買い戻された。
市場の受け止め方としては、“ハト派的な利上げ”という見方が多く、サプライズにはならなかった。市場の動きを見れば、米国のような頻度での異次元の利上げにはならないと見ていると思われる。
植田総裁は追加利上げについて、「物価上昇率が高まれば」と言及しつつ、「国債買い入れのタイミングとどちらが先かは現段階で考えていない」と明言を避けた。
物価の上昇率次第ではあるが、CPIの数値は鈍化しつつある。これからは米国の利下げのタイミングにも左右されるだろうが、追加利上げの環境はさほど整っていない。
今後の影響を見極めつつではあるが、大きな混乱が無かった今回の利上げだった。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
スポンサードリンク