H3ロケット2号機、悪天候で打ち上げ延期 JAXA

2024年2月14日 08:38

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2023年3月7日に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたH3ロケット1号機 (c) JAXA

2023年3月7日に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたH3ロケット1号機 (c) JAXA[写真拡大]

 JAXAは13日、悪天候を理由にH3ロケット2号機の打ち上げ延期を発表した。打ち上げは当初2月15日に予定されていたが、JAXAによれば当日は種子島宇宙センターの発射場では雷と強風が予想されるため、打ち上げ延期の判断に至ったという。

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 H3ロケット1号機は、2023年3月に打ち上げに失敗している。JAXAと三菱重工業は、H3ロケット1号機の第2段エンジンの点火失敗につながった可能性がある電気的問題を特定し、対策を講じたうえで2号機の発射に備えていた。

 このロケットの前身となるH2Aロケットは、発射成功率97.9%を誇る世界で最も信頼性の高い機種であったため、昨年のH3ロケットでの躓きに対する関係者のショックは想像に難くない。この約1年間、リベンジに燃えてきた関係者の打ち上げにかける意気込みに、天候が水を差す形となった。

 H3ロケットの躓きの影響で、2023年に退役予定であったH2Aロケットは2024年まで退役が延期され、50号機の打ち上げを以ってその使命を終える予定だ。H-IIAロケットの47号機には、2023年3月7日に打ち上げに失敗したH3ロケット試験機1号機と同系のエンジンが使用されている。H3ロケット失敗の余波を受け、打ち上げ延期が生じたものの2023年9月7日に無事打ち上げに成功しており、今回のH3ロケット2号機でのリベンジにも期待が持てそうだ。

 実はH3ロケットの打ち上げは、昨年の段階においても開発遅延の影響で既に2年の遅れが出ていた。新型コロナの流行が開発計画に重大な悪影響をもたらしたのは間違いないが、今度こそ1発で成功させ、日本がコロナ禍から無事脱出できたことを世界中にアピールしたいものだ。

 H3ロケットは低コストでの打ち上げを実現できるシステムとして開発を目指してきたが、H2Aロケット並みの高い信頼性を実現できれば、世界でもトップレベルの競争力を発揮でき、スペースXなど世界的な大手企業と競争できる可能性がある。なお、延期後の打ち上げスケジュールは早ければ2月14日に発表される予定だ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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