抗老化候補物質「NMN」、ヒトへの長期投与で安全性確認 老化疾病の予防に期待 慶大

2024年1月30日 09:17

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 慶應義塾大学は24日、抗老化候補物質として注目されている「ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)」について、健康なヒトが長期間内服しても安全であることを確認したと発表した。また、NMNに糖代謝改善作用がある可能性も確認したという。今後は、老化関連疾患の新しい予防戦略の開発に貢献することが期待される。

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■NMNとは?

 これまでの動物実験により、NMNを投与すると、加齢により減少するニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD+)が増加し、長寿遺伝子サーチュイン遺伝子が活性化。加齢に伴い増加する糖尿病などの老化関連疾患が抑制されることが明らかになっている。なお、NMNはNAD+の原料となる。

 ヒトにおいても同様に脳や肝臓など主要な臓器において、加齢によりNAD+が減少することがしられている。そのためNMNは、ヒトにおいても抗老化候補物質として期待されている。

 研究グループは、2019年に世界で初めてNMNをヒトに単回投与する臨床研究をおこない、500mgまでの単回投与について安全性を確認している。

■NMNを成人男性に長期投与し安全性確認

 今回研究グループは、40歳~60歳の健康な男性14人に、8週間に渡って、毎日朝食前に250mgのNMNを経口投与した。

 その結果、NMNの摂取期間に応じて抹消臓器におけるNAD+の増加を確認。一方で血圧、脈拍、体重などに変化はなく、視力などの目の機能や睡眠の状態などについても影響はなかった。

 また肝臓や腎臓の機能をチェックする血液・尿検査においても、NMNの投与が原因とみられる変化は確認されなかった。

 これに対して、インスリンの分泌量が多い3人については、過剰なインスリンの分泌が抑えられる可能性が示唆されたという。

 以上から研究グループでは、健康な成人男性において、NMNの長期の経口投与について、抹消臓器におけるNAD+の増加と安全性が確認されたとしている。また糖耐性が軽度でも障害されているヒトについては、NMNの投与により改善が期待できる可能性があるという。

 研究グループでは、今回の研究成果は、超高齢化社会を迎えた我が国において、老化関連疾患の予防のための栄養学的なアプローチに資するものであるとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

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