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肥満症薬「ウゴービ」が経済に与える影響は!?
●ウゴービの販売が好調
デンマークの製薬大手・ノボノルディスクの肥満症薬「ウゴービ」の販売が好調だ。世界経済さえも大きく変えるかもしれない。
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ロイター通信によると、ノボノルディスクを傘下に持つノボ・ホールディングスのクタイCEOは、ウゴービの利益が今後数年間で120憶ドル(約18兆円)余りに達するとの見解を示している。
英国では9月4日に販売が開始されたものの供給が追い付かず、ノボノルディスクは「管理・制限する」としている。先行して発売している米国でも供給不足が深刻で、米食品医薬品局(FDA)も供給解消は未定としている。
欧米では肥満が深刻な社会問題となっており、ある研究の試算では年間4兆ドル(約600兆円)の経済的損失をもたらすとも言われている。
経済の面においてもウゴービが救世主となるのだろうか?
●ウゴービの効果は?日本でもすでに承認
ウゴービは2021年、肥満症の人のための体重管理向け利用として、承認された。 日本では「セマグルチド」という商品名で2023年3月から承認されている。
週に1回の注射で、脳に働いて食欲を抑え、胃の動きを抑えて満腹と認識させる効果があるとされており、生活習慣の改善で約10%以上の体重減少効果があると期待されている。
日本では肥満によって生じる2つ以上の健康被害があることと、BMI35以上の場合に保険診療で使われる。
気軽にダイエット薬としては使えない。
●値段などの課題も
ウゴービに続く、肥満症薬の研究はすでに進んでおり、今後も後発薬が承認されることも予測される。
ただウゴービに限らず、長期的な影響については明らかにはなっていない。
動物実験では甲状腺がんの発現率が高くなったという結果もあり、副作用の心配もある。一時的に治っても、リバウンドする可能性も否定できず、長期間の服用が必要となることも考えられる。
日本では保険適用できても、米国では月額約1300ドル(約20万円)というコスト面でも大きな課題がある。
それでも、肥満による糖尿病・心筋梗塞などの合併症を防ぐことができる効果、病気による労働機会の損失を防ぐことなどの効果も期待される。
肥満治療薬が製薬会社の株価だけでなく、経済そのものを大きく動かすかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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