2023年は値上げラッシュ続くも、当初予想より鈍化 帝国データバンク

2023年10月1日 07:21

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 帝国データバンクは9月29日、2023年10月の価格改定動向調査の結果を発表した。酒税の段階的な改正に伴い値段が上がる「第3のビール」や「発泡酒」を含む酒類・飲料が10月から値上げされる。一方、同じ背景から「ビール」が値下げされるほか、原材料高を理由とする値上げが落ち着きつつある。そのため値上げは、年後半から鈍化しつつあり、ラッシュ自体は続くものの、2023年通年では当初予想を下回る品目数で落ち着きそうだ。

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 「ビール」、「発泡酒」、「第3のビール」と現在は3種類に分かれているビール系飲料の税額が段階的な改正により、2026年10月より一本化される。その一環としてこの10月から「ビール」が安くなり、「第3のビール」が高くなる。これに伴い、各種メーカーの「第3のビール」は9月に駆け込み需要を得ることができた。

 ビール酒造組合が実施したアンケート結果によれば、価格が下がれば「ビール」を飲む量を増やすと回答した人の割合は18%だった。一方で、価格が上がることで「第3のビール」を飲む量を減らすと回答した人は28%もいた。10月以降、「第3のビール」から「ビール」へ需要がシフトすると予想される。メーカー別では、「第3のビール」に強いキリンやサントリーと、「ビール」に強いアサヒそれぞれにおいて、戦略の転換機を迎えると言える。

 かかる状況下、帝国データバンクは29日、2023年10月の価格改定動向調査の結果を発表した。食品上場105社に全国展開する非上場90社を足した主要計195社における価格改定計画を踏まえたもの。

 2023年通年で値上げが実施される品目数は3万2,000品目台で、2022年の実績(2万6,237品目)を20%以上も上回り、バブル崩壊以降の数十年で最大の値上げラッシュとなる見通し。

 一方、98.9%の企業が値上げの理由として挙げる原材料高については、2022年に起こった大幅な上昇分は既に価格転嫁が進みつつある。また上記の通り、10月から「ビール」が値下げされるなど一部で値下げも実施される。その結果、2023年通年の値上げ品目は当初予想された3万5,000品目と比べ少ない品目数に落ち着くことが予想される。

 実際に10月の値上げは4,634品目で、「第3のビール」や「発泡酒」を含む種類・飲料が目立ったものの、昨年10月の7,864品目からは大幅に減り、8月からは3カ月連続で前年同月の実績を下回った。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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