10月の倒産件数は965件、2025年では最多に 小規模・零細の倒産も増加傾向

2025年11月16日 17:25

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 東京商工リサーチが10月度の「全国企業倒産」を発表。物価高や人手不足などの不安要因により、今後も倒産件数が増える可能性が高いことが分かった。

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■10月の倒産件数は965件、単月では2025年最多を更新

 11日、東京商工リサーチが10月の「全国企業倒産」を発表。全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は前年同月比6.16%増の965件となり、5カ月連続で前年同月を上回った。7月の961件を超えて、2025年の単月では最も多い倒産件数となった。

 負債総額は同49.57%減の1,275億2,100万円となり、2カ月連続で前年同月を下回っている。2024年10月には、エクシア合同会社(負債総額850億円)、船井電機(同469億6,400万円)などの大型倒産があったことによる反動減が大きかった。

 主な大型倒産企業は、中川企画建設(負債総額:222億2,200万円、以下同じ)、エネトレード(45億円)、サーベラス(31億8,100万円)、丸二永光水産(27億6,600万円)、南国リゾート(24億円)など。

 今後の不安要因として、過剰債務の解消、物価高、人手不足、金利引き上げなどがあり、年末年始にかけて資金調達が難しい企業を中心に、倒産件数が増加する可能性がある。

■10産業中7産業で前年同月上回る

 産業別の倒産件数は10産業中7産業で前年同月を上回った。倒産件数が最も多かった産業はサービス業他の326件(前年同月比:7.59%増、以下同じ)。次いで建設業が177件(5.34%減)、製造業が124件(18.09%増)、小売業が118件(14.56%増)で、ここまでが倒産件数100件超え。

 以下は、卸売業が99件(4.21%増)、情報通信業が40件(27.27%減)、運輸業が37件(15.624%増)、不動産業が33件(57.14%増)、農・林・漁・鉱業が9件(125.00%増)、金融・保険業は2件(50.00%減)となっている。

 都道府県別で最も倒産件数が多かったのは、東京都の174件、次いで大阪府が115件でこの2都府が100件超え。以下は、神奈川県が62件、福岡県が53件、兵庫県が52件、京都府が46件、愛知県が45件、埼玉県が37件と続く。

 反対に倒産件数が少なかったのは、青森県と高知県が各3件、山梨県、福井県、鳥取県、徳島県、香川県、佐賀県、長崎県が各4件だった。

■負債1,000万円未満の小規模倒産も増加傾向

 10月の「負債1,000万円未満」の企業倒産件数は、前年同月比6.2%増の51件となり、2カ月連続で前年同月を上回った。1月から10月までの累計倒産件数は441件と、前年同期比4.7%減となっている。累計では前年を下回っている者の、9月、10月と2025年の月平均を上回る状況が続いている。

 内需産業の多い小規模・零細企業が、円安により原材料や光熱費高騰の影響を受けやすいことから、人手不足や金利上昇などの要因も重なって、今後も倒産が増える可能性は高い。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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