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地球に最も近いブラックホールか? ヒアデス星団に 伊パドヴァ大学ら
地球に最も近い散開星団のヒアデス星団(c) Jose Mtanous[写真拡大]
おうし座のα星アルデバランは、有名なヒアデス星団を従え、そのV字型に並ぶ星々は、肉眼でも簡単に見つけられる。この散開星団は地球から150光年と比較的近いところにあるが、イタリア・パドヴァ大学の科学者らは、この星団内に、2~3個の恒星ブラックホールが存在する可能性があるとの研究論文を発表した。
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論文は、9月8日に英国王立天文協会月報9月号で公表された。欧州宇宙機関(ESA)の探査機ガイアによって観測された、非常に正確な恒星の位置ならびに移動情報に基づき、ヒアデス星団に属する星々の挙動についてコンピューターシミュレーションでの再現を様々な解析条件で実施。その結果、星団内に2ないし3個の恒星質量ブラックホールの存在を仮定した場合に、ヒアデス星団内の星々の運動を極めて正確に再現できたという。
観測でブラックホールの存在を確かめたわけではなく、数値計算でブラックホールの存在を示唆する結果が得られたというのが、この論文の主旨だ。
現在観測によって存在が確かめられている地球に最も近いブラックホールは、ガイアBH1と呼ばれ、へびつかい座の方向に約1560光年の距離にある。もしも今回の論文が正しいとすれば、ガイアBH1の約10分の1の距離に、地球に最も近いブラックホールが存在することになる。
この論文が示唆する恒星質量ブラックホールが観測によって存在が確かめられる日が来るのも、そう遠くないだろう。並行して探査機ガイアの観測データのさらなる解析が進めば、地球に最も近いブラックホールの距離は、さらに縮まるだろう。
これまでの歴史で太陽系に最も接近したショルツ星と呼ばれる恒星は、7万年前に0.8光年まで接近した。またグリーゼ710と呼ばれる恒星は、現在は62光年の距離にあるが約130万年後には0.065光年にまで接近するという。つまり、数10光年程度の距離にある恒星ブラックホールが地球に極めて接近する可能性もゼロとは言い切れないかもしれないのだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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