シナネンホールディングスは24年3月期1Q営業損失拡大、通期大幅増益予想据え置き

2023年8月10日 15:47

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  シナネンホールディングス<8132>(東証プライム)は8月9日の取引時間終了後に24年3月期第1四半期連結業績を発表した。石油類と電力の販売数量増加などで小幅増収だが、前期好調だった石油事業の売上総利益が平年並みの水準に落ち着いたことに加え、電力事業において調達価格と販売価格が逆転する「逆ザヤ」が発生したことなどにより営業損失が拡大した。ただし通期の大幅増益予想を据え置いた。第1四半期は営業損失が拡大したが、期初より進めている電力事業の価格改定効果により、下期に大幅な収益回復を見込んでいる。積極的な事業展開により通期ベースでの収益拡大を期待したい。株価は年初来高値圏だ。目先的には第1四半期業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、1倍割れの低PBRも評価材料として下値限定的だろう。

■24年3月期1Q営業損失拡大、通期大幅増益予想据え置き

 24年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比0.3%増の713億93百万円、営業利益が7億18百万円の損失(前年同期は50百万円の損失)、経常利益が4億79百万円の損失(同3億25百万円の利益)、親会社株主帰属四半期純利益が3億61百万円の損失(同16億40百万円の利益)だった。

 石油類と電力の販売数量増加などで小幅増収だが、前期好調だった石油事業の売上総利益が平年並みの水準に落ち着いたことに加え、電力事業において調達価格と販売価格が逆転する「逆ザヤ」が発生したことなどにより営業損失が拡大した。なお特別利益では前期計上の固定資産売却益22億51百万円が剥落した。

 エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)は、売上高(外部顧客への売上高)が4.7%減の152億17百万円、営業利益(全社費用等調整前)が3億16百万円(前年同期は1億37百万円の損失)だった。売上面は、主力のLPガス・灯油販売の販売数量が前年並みだったが、電力事業において取引条件見直しに伴って一部顧客の離脱があった影響で減収だった。利益面はLPガス販売において前期に実施した価格改定効果などで増益だった。

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)は、売上高が0.9%増の509億47百万円、営業利益が11億76百万円の損失(同93百万円の利益)だった。売上面は電力事業における大口顧客獲得などにより小幅増収だが、利益面は前期好調だった石油事業の売上総利益が平年並みの水準に落ち着いたことに加え、電力事業において調達価格と販売価格が逆転する「逆ザヤ」が発生したことなどにより営業損失だった。

 非エネルギー事業は売上高が10.9%増の51億72百万円、営業利益が2.2倍の2億70百万円だった。自転車事業(シナネンサイクル)は前期後半から実施した価格改定や大手法人向けコンテナ販売などで増収増益だった。シェアサイクル事業(シナネンモビリティPLUS)はシェアサイクルサービス「ダイチャリ」の拠点開発などで増収だが、前期の一過性収益の剥落で減益だった。23年6月末時点のステーション数は3200カ所超、設置自転車数は1万台超の規模となった。環境・リサイクル事業(シナネンエコワーク)は主力の「木くずリサイクル」が伸長したが、新たな環境関連事業の開発に向けた投資により、全体として前年並みだった。抗菌事業(シナネンゼオミック)は中国の景気低迷に起因する需要減少で減収減益だった。システム事業(ミノス)はLPガス基幹業務システムが安定的に推移して増収増益だった。建物維持管理事業(タカラビルメンなど)は施設運営業務が好調に推移して増収増益だった。なお建物維持管理事業を手掛けるグループ4社を23年10月に統合する。

 通期の連結業績予想は据え置いて売上高が23年3月期比5.2%増の3600億円、営業利益が123.2%増の20億円、経常利益が87.3%増の23億円、親会社株主帰属当期純利益が171.5%増の13億円としている。配当予想は23年3月期と同額の75円(期末一括)としている。予想配当性向は63.0%となる。

 原油価格高騰が一服して小幅増収となり、引き続きIT関連投資を含む支払手数料や人件費が増加するが、電力事業の収益改善やLPガス事業の料金改定などで大幅増益予想としている。第1四半期は営業損失が拡大したが、期初より進めている電力事業の価格改定効果により、下期に大幅な収益回復を見込んでいる。積極的な事業展開により通期ベースでの収益拡大を期待したい。

■株価は年初来高値圏

 株価は年初来高値圏だ。目先的には第1四半期業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、1倍割れの低PBRも評価材料として下値限定的だろう。8月9日の終値は3955円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS119円22銭で算出)は約33倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4902円63銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約516億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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