「感性」を編み込む住まい? 積水ハウスが新機軸のインテリア提案システムを始動

2023年7月2日 15:27

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

積水ハウスは、インテリアデザインの新提案システム「life knit design」を6月30日から全国で導入した

積水ハウスは、インテリアデザインの新提案システム「life knit design」を6月30日から全国で導入した[写真拡大]

OpenAI のChatGPTやGoogleのBirdをはじめとする生成AIが世の中を席巻している。テキストはもとよりプログラムやプロダクト、画像や動画にいたるまで、AIによって巧みに生成される虚実織り交ぜたコンテンツが拡散しつつある中、これからの社会で人間が尊厳を保ち、人間らしく幸せに暮らしていくためには、個人一人ひとりの「感性」がより大切になってくるのではないだろうか。

 先日、そんな新しい時代を先取りするようなコンセプトの住まいの新しいデザイン提案システムを、住宅メーカー大手の積水ハウスが発表した。6月30日から同社が全国で導入する「life knit design」だ。

 注文住宅において、外装や内装、居室の壁紙や建具などインテリアの選定は、オーナーの楽しみや喜びの一つであるとともに、いちばんの頭の悩ませどころでもある。もちろん、住宅メーカー側からもプロの視点でアドバイスはしてくれるだろうが、何千点にも及ぶ部材の中から好みに合うものを選び出し、しかもカラーやトーンのバランスなども考えながら、家全体を家主のイメージ通りに仕上げるのは至難の業だ。また、これまでは「和」「洋」「モダン」などの流行り廃りの激しいテイストをもとに、デザイン提案がなされていた。居住年数が経つにつれて何となく時代を感じてしまうのは、経年劣化だけの問題ではないだろう。

 そこで、積水ハウスでは今回、従来の流行に合わせたテイストのインテリア提案方法を刷新した。「life knit design」は、空間における色や素材、カタチなどから受ける印象を言語化して導き出した独自の「6つの感性フィールド」を起点に、住む人の「感性」を住まいに映し出す新しいデザイン提案システムだ。6つの感性フィールドはそれぞれ、同系色でしなやかな空気感を醸し出す「静PEACEFUL 」、すっきりナチュラルな木質感でさわやかな空気感をもたらす「優TENDER 」、上質なシンプルさで緊張感のある空気感のある「凛SPIRIT 」、暖かみのある木質感で暖かみのある空気感で包み込む「暖COZY 」、重厚感で贅沢な空気感を演出するハイコントラストな「艶LUXE 」、ワクワクする色やカタチで心躍る空気感が楽しい「奏PLAYFUL 」となっている。

 また、同社ではこれに合わせて、顧客がスマートフォン・パソコン・タブレット端末等からアクセスできるインテリアコミュニケーションツールを開発。顧客がアプリ内の画像などを直感で選んだり、コメントなどをまとめて登録したりすることができる。打合せ初期から営業や設計担当者だけでなく、家族間でも互いの好みや感性が見える化されるので、家族みんなで楽しく家づくりに参加できるのだ。

 また、これまで役割が明確でなく、名称も統一されていなかった内装の仕様打合せの場を「life knit atelier」として全国84か所でリニューアルオープンする。ここでも6つの感性フィールドの素材イメージに触れられる「感性コラージュボックス」など、新たに開発したツールを通して、顧客の感性を探っていくという。

 この新しいデザイン提案システム「life knit design」を始動させるにあたり、積水ハウスの代表取締役 社長執行役員兼CEOの仲井嘉浩氏は「良質な住宅ストックに愛着を編み込むことで、人生100年時代の幸せ住まいを提供する」と述べ、これまで耐震性や断熱性能などのハード面が中心であったが、これからはソフト提案や生活提案を強化することで価値のあるものを提供していきたいと抱負を語った。

 同社では、感性フィールドの設定やコミュニケーションツールに登録する膨大な画像データの選定もAIに頼らずに人力で分析したという。また6つの感性フィールドについても、単純に決めつけるものではなく、「静寄りの優」など重なり合う領域があったり、空間と家具をそれぞれ異なる感性フィールドで構成するなど、感性フィールドをベースに顧客の感性に応じてカスタマイズすることを想定しているという。

 今後、住宅業界に限らず、豊かな暮らしを提供するサービスや商品をデザインする上で、「感性」は最も重要なフレーズになってくるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

■関連記事
半導体、AIなどに投資支援パッケージ 総理
LINEで仮想のキャラクターを作成し自然に会話できるサービス、完全無料で提供開始
国内での生成AI開発、GAFAM対抗のため政府の支援が必要

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連キーワード

関連記事