コロナの3文字を乗り越えた:コロナの現状と喫緊の課題

2023年5月16日 07:58

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 コロナ(東証スタンダード)。石油暖房機器の最大手。温水機器やヒートポンプ式給油機器も手掛けている。

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 こんな話が伝えられた。コロナでは大桃満社長自らが厚労省の副大臣を直接訪れて、要望書を提出した。内容は、国内で通常使用される「(新型)コロナウイルス」の呼び名を「WHOが命名した正式名称『COVID―19』に変更してもらいたい」というものだった。

 対して厚労省の専門部会は「国民に定着している」ことなどを理由に、現在の名称を引き続き用いる方針を決めた。大桃社長は要望書提出の意図を、「将来10年、20年、30年後の当社の社員および家族の不安を払拭しないといけない」と語っている。

 私は2021年5月3日の企業産業欄にコロナ禍の中で、当時の小林一芳社長(現会長)が20年6月に地元紙:新潟日報に以下の様な内容の全面広告を発信したと記した。

 「もし、家族がコロナで働いているということで、嫌な思いをしていたらごめんなさい。私たちは『コロナ』という社名に、自分たちの仕事に誇りを持っている。キミの自慢の家族は、コロナの自慢の社員だ」

 漢字を殆ど使わず、小学生にも読めるように分かりやすく訴えた広告だった。

 私の記憶に間違いがなければ当時、コロナの3文字が社名に入った企業が全国に300前後あった。反響は大きかった。全国の小学生から「のりこえて、がんばってください」「すごくいいしゃめい」などと書かれた手紙が届いたという。

 コロナという社名がそうした状況を作ったわけではあるまいが、2019年3月期には16億3900万円だったコロナの営業利益はその後、5億1700万円、9億6300万円、8億58万円と低迷したことは事実。

 が、前3月期は4月25日に上方修正。「8.5%の増収(853億3500万円)、23.6%の営業増益(19億100万円)、57.8%の最終増益(14億8200万円)」で本決算を迎えた。至25年3月期の3カ年中計も「売上高887億円(22年3月期比12.7%増)、経常利益20億円(67.4%増)」と着実な歩みを示している。

 大桃社長の厚労省への要望書提出の意図は理解できる。だがコロナはいまや「コロナの3文字から脱出した」といえよう。

 株価は昨年6月の水準を底に強含みの揉みあいに転じ冬場入り後、適当な押し目を挟みながら4月に425円まで買われ時価は高値ゾーン。前期の配当性向55.0%。クオカードによる株主優待策持続。無借金経営。待たれる課題は0.3倍台の1倍割れPBRへの対応計画書の発信と考える。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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