120万個の銀河が示す宇宙進化の痕跡、相対性理論の正しさを証明 京大の研究

2023年4月19日 11:29

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銀河の向きが、フィラメント状のダークマター分布の重力に向かってそろう様子。(画像: 京都大学の発表資料より)

銀河の向きが、フィラメント状のダークマター分布の重力に向かってそろう様子。(画像: 京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 宇宙の質量の構成比は物質が5%で、残りの95%は、ダークマター(27%)とダークエネルギー(68%)が占める。ダークマターは、銀河の形状や運動を物質の質量だけでは説明できないため、直接観測できない銀河内に存在する質量を仮定した存在。ダークエネルギーは、宇宙の膨張速度が、物質やダークマターの質量だけでは説明できないために、その矛盾を埋め合わせるために科学者らによって仮定された存在だ。

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 これが現在の標準宇宙モデルのごくごく大雑把な説明だが、直接観測にかからない存在が宇宙の95%も占めているのは、宇宙の謎の多さを示している。そんな中でこの標準モデルの妥当性の検証が、現在も科学者たちによって展開されているわけだが、京都大学は14日、120万個にも及ぶ膨大な数の銀河の観測による、標準宇宙モデルの検証結果について公表した。

 従来は、銀河の位置情報のみによる分布状態の観測データに基づいた研究がなされてきたが、京大では、位置情報のみならず銀河の向きにも着目して、研究を実施。その結果、銀河間の互いに距離が近い場合、銀河同士の向きがそろう傾向にあるが、その距離が離れれば離れるほど、互いの向きが不ぞろいになる傾向を見出したという。

 この結果はダークマターが及ぼす重力の影響が、銀河間の距離と相関関係にあることを物語り、アインシュタインの一般相対性理論の正しさを証明するものだ。一般相対性理論が導く標準宇宙モデルと、今回の京大の観測結果との誤差は5%程度しか認められなかった。

 つまり宇宙の進化の姿は、一般相対性理論に基づいて十分に説明が可能であることが証明されたわけだ。一方で人類はまだ、宇宙の質量の32%(物質5%+ダークマター27%)にしか確実に手が届いていない。

 残るダークエネルギー(宇宙の喪失量の約3分の2に相当する68%)についての確実なデータ検証についても、今後の研究に期待していきたい。なお、今回の研究の詳細は、は3月14日に「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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