コロナ破たん、3カ月連続で最多更新 リオープニングの波及に時間 東京商工リサーチ

2023年3月5日 08:12

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 東京商工リサーチは3日、新型コロナウイルスの影響で破たん国内事業者数について、2月に249件(負債1,000万円以上)が確認され過去最多を更新したうえ、3月は2月を上回るペースで推移していることを発表した。

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 日本政府が中国便に対する水際対策を緩和し、また、中国の経済回復への期待の高まりもあり、関連銘柄の株価が上昇する状況とは対照的。リオープニングが本格化するにはまだ時間がかかりそうで、それまでに、ゼロゼロ融資の元本返済や物価高などで資金繰りの続かない中小事業者の破たんが続きそうだ。

 ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば、日本時間4日午後5時時点における直近4週間の新規感染者数は、1位が米国(104万人)、2位は日本(56万人)。厚生労働省の発表によれば、4日に確認された都内の感染者数は795人で、1週間前の同じ曜日から387人減った。重症者数も2人減って9人となった。減少傾向が続く中、13日からはマスク着用ルールが緩和されるなど、コロナ前の状態に戻りつつある。

 中国においても、同様にコロナ禍からの回復が進んでいる。ゼロコロナ政策により経済成長が鈍化したものの、直近の各種経済統計の発表を受け、中国の経済回復への期待が高まりつつあり、関連銘柄と見られる日系企業の株価が好調に推移している。具体的には、THK、コマツ、安川電機、ファナックなどが3日に株価を上昇させた。

 一方、日本国内の中小事業者におけるコロナ影響での破たんは増勢を強めている。東京商工リサーチが発表したところによれば、2月は249件が確認され、過去最多の1月(245件)を超えた。1日当たりの破たん件数では、これまでで最多の7.9件(1月)を大幅に上回る8.8件だった。

 負債1,000万円未満の小規模倒産を加えた累計の破たん件数は5,702件に達し、計算上は国内企業1,000社に1社以上がコロナで破たんしたこととなる。破たん企業(負債1,000万円以上)が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで4万8,263人となった。

 破たんが増えている背景には、ゼロゼロ融資の元本返済が開始したことに加え、物価や電気代等の高騰がある。また、一部業種ではコロナ禍で従業員の転職が進み、リオープニングで顧客が戻ってもリソースが足りずに売上が低迷したままのケースもある。中小事業者を中心に、リーオプニングによる本格的な業績回復には、暫く時間がかかりそうだ。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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