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4年ぶりに行動制限無しの春節、かかる期待とその現実
●中国の春節がスタート
新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める厳格なコロナ対策(ゼロコロナ政策)を緩和した中国が、大型連休の春節を迎えている。
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2019年以来4年ぶりに行動制限のない春節で、中国国内だけでなく、世界中で大きな経済効果が期待される。渡航制限も撤廃され、インバウンド需要復活にも期待が高まる。
コロナ前の2019年は30億人が移動した春節だが、コロナ前に完全に戻れるのか?
●春節と経済効果
春節は中国の旧正月に基づいており、毎年日程が異なる。2022年の春節は2月1日だったが、2023年の春節は1月22日となり、1月27日までの7連休となっている。
中国国内だけでなく、全世界の華人が春節を祝う。2023年は帰郷する人、旅行する人を含めて21億人が移動するとみられている。
例年春節には、日本各地が中国人観光客で賑わっており、コロナ前は春節の前後1カ月で70万人以上の訪日客がいた。1人当たりの消費額は約22万円で、化粧品や医薬品などが人気である。
●コロナ前に戻るのか?
観光庁のデータによると、2019年には中国人の年間旅行消費額が1兆7700億円にも上っており、全訪日客の3分の1を占め、インバウンド需要に欠かせなかった。
だが現状では、コロナ前の春節の状態にはほぼ遠い。
日本政府は、中国国内でのコロナ感染者の急増を懸念。1月4日より中国本土からの入国者に対し、入国時のPCR検査、出国72時間前以内の陰性証明を義務付け、水際対策を強化したことで訪日客が二の足を踏んでいる。中国側でも代理店を通さないと訪日ビザが取得できず、所得制限もある。
日中間の航空便もコロナ禍前の数%に留まるところもあり、アクセス面でもハードルが高い。
受け入れる側の日本もコロナ禍でインバウンド向けのサービスを再構築しなくてはならず、この数年で物価高、人件費の高騰もあり、人手不足も深刻である。
その点、観光客の受け入れに熱心なタイは水際対策を実施しておらず、中国からの春節での人気観光地におい1位となっている。タイ以外にもシンガポールやマレーシアなどの東南アジアに観光客が流れている。
コロナ前の春節の光景に戻るのは来年以降になりそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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