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【どう見るこの株】やまみは底打ちの動き、23年6月期は原材料価格高騰で減益予想だが上振れ余地
やまみ<2820>(東証プライム)は大豆食品の生産メーカーとして、中国地方を地盤に、豆腐およびその関連製品である厚揚げ、油揚げなどの製造・販売を展開している。成長戦略として高付加価値製品の強化や関東圏での市場シェア拡大などを推進している。23年6月期は営業強化や新製品の効果などで増収だが、原材料価格や光熱費の高騰の影響で減益予想としている。ただし第1四半期の営業利益進捗率が過去3年平均の進捗率を大幅に上回る水準だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は上場来安値圏で軟調だったが、動意づく形となって底打ちの動きを強めている。出直りを期待したい。
■豆腐、厚揚げ、油揚げ等の製造販売を展開
大豆食品の生産メーカーとして、豆腐およびその関連製品である厚揚げ、油揚げなどの製造・販売を行う豆腐等製造販売事業を展開している。
生産拠点は本社工場(広島県三原市)を主力として、関西工場(滋賀県甲賀市)および富士山麓工場(静岡県駿東郡、19年12月稼働)に展開し、多様な製品構成、最先端の生産ラインによる大量生産や時間当たり生産能力の高さなどを特徴・強みとしている。
22年6月期の拠点別の収益は、本社工場の売上高が74億54百万円(売上高構成比54%)で営業利益が11億92百万円、関西工場の売上高が49億12百万円(同36%)で営業利益が2億30百万円、富士山麓工場の売上高が14億44百万円(同10%)で営業利益が5億20百万円の赤字だった。本社工場のある中国地方で高い市場シェアを誇り、19年12月に稼働した富士山麓工場を拠点として関東圏に本格進出した。
収益特性に関する季節変動要因として、春夏には冷奴等に使用される豆腐の需要が高くなり、秋冬にはおでんや鍋等に使用される厚揚げや油揚げの需要が高くなる傾向がある。売上面は年間を通じて概ね平準化されているが、利益面においては商品構成差で第2四半期(10月~12月)の構成比が高くなる傾向がある。22年6月期の四半期別営業利益構成比は第1四半期20.0%、第2四半期42.2%、第3四半期24.3%、第4四半期13.4%だった。なお22年6月期は第4四半期における原材料価格や光熱費の一段の高騰も影響した。
■高付加価値製品の強化や関東圏での市場シェア拡大を推進
中期経営計画(ローリング方式で毎期本決算とともに発表、23年6月期~25年6月期)では、原材料価格や光熱費の高止まりの状態が続くが、単純な値上げは困難であり、製品ブラッシュアップによる高付加価値製品の強化が中心というシナリオを想定し、最終年度25年6月期(非連結)目標値として売上高168億84百万円、営業利益13億円、経常利益13億03百万円、当期純利益8億59百万円を掲げている。設備投資については3工場とも新設ラインの計画はなく、設備改善のための投資を中心に実行し、将来の投資に備えて財務体質の強化を図る方針としている。
成長戦略として、既存取引先の深耕や新規取引先の開拓による売上高の増加、富士山麓工場を拠点とした関東圏での市場シェア拡大、簡便・小分け・時短・お得な新規付加価値製品の開発、原料を消費者に支持される国産大豆(北海道産とよまさり)に変更して新発売した「北海道とよまさり」シリーズの拡販、他社が真似できないスピードによる設備投資・更新、品質・製品力を共に向上させるための人材採用・育成を推進する。
さらにサステナビリティ経営も強化する。22年2月には、広島ガスおよび三井住友ファイナンス&リースと共同で「未利用LNG冷熱の融通と高効率冷凍機導入による連携省エネルギー事業」の運用を開始した。22年6月には、サステナビリティ基本方針を制定し、サステナビリティ委員会を設置した。
なお、前回の中期経営計画(22年6月期~24年6月期)における23年6月期および24年6月期の目標値との比較では、売上高は富士山麓工場を拠点とする関東圏での市場シェア拡大戦略が順調に推移して上方修正、利益面は原材料価格や光熱費の高騰の影響により下方修正して保守的な計画とした。そして25年6月期は、売上高が順調に拡大し、原材料価格などコストアップ要因の沈静化、高付加価値製品の強化、不採算取引の価格是正への継続的な取り組みなども寄与して、成長軌道に回帰する計画としている。
■プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書
22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編ではプライム市場を選択した。ただし移行基準日(21年6月30日)時点で流通時価総額および1日平均売買代金が基準を充たしていなかったため、21年12月17日付で「新市場区分の上場維持基準適合に向けた計画書」を開示した。中期経営計画に基づいて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るとともに、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を図り、IRの充実による市場認知度向上など各種施策を推進することにより、24年6月期末までにプライム市場上場維持基準の適合を目指すとしている。
そして22年9月29日付で上場維持基準適合に向けた計画に基づく進捗状況をリリースした。22年6月30日時点で流通時価総額および流通株式比率が基準を充たしていない(流通株式比率については、21年6月30日時点では役員以外の特別利害関係者の所有株式数を流通株式から除外せずに算出していたが、22年6月30日時点では当該株式数を除外して算出のため基準不適合)ため、流通時価総額、流通株式比率、および1日平均売買代金(今回は審査対象外だが、22年12月末時点で審査対象)について、24年6月期末までに上場維持基準を充たせるように、引き続き中期経営計画に基づいた各種取組を推進するとしている。
■23年6月期は原材料価格高騰で減益予想だが1Q高進捗率で上振れ余地
23年6月期の業績(非連結)予想は売上高が22年6月期比5.3%増の145億39百万円、営業利益が35.8%減の5億80百万円、経常利益が34.7%減の5億90百万円、当期純利益が36.8%減の3億83百万円としている。配当予想は22年6月期比2円増配の28円(第2四半期末14円、期末14円)としている。連続増配予想で予想配当性向は50.9%となる。
売上面は、本社工場・関西工場圏においては物価高による消費環境悪化を想定して慎重な計画だが、高付加価値製品強化の取り組みを推進し、富士山麓工場を拠点とする関東圏での市場シェア拡大も寄与して増収予想としている。利益面は、物流効率化などによるコスト抑制を継続するが、原材料価格や光熱費の高止まりの状態が続き、単純な値上げは困難として減益予想としている。
拠点別の収益は、本社工場の売上高が1.7%増の75億79百万円で営業利益が53.4%減の5億56百万円、関西工場の売上高が2.2%増の50億22百万円で営業利益が17.8%減の1億89百万円、富士山麓工場の売上高が34.1%増の19億37百万円で営業利益が1億65百万円の赤字(22年6月期は5億20百万円の赤字)の計画としている。富士山麓工場は稼働率上昇効果などで赤字縮小の見込みとしている。
第1四半期(7月~9月)は売上高が前年同期比8.9%増の35億45百万円、営業利益が17.0%減の1億50百万円、経常利益が20.7%減の1億48百万円、四半期純利益が14.1%減の1億05百万円だった。
売上面は、美味しさと素材にこだわった「北海道とよまさり」シリーズの販売開始などにより、主力商圏(中四国・関西地方等)での販売が順調に推移し、富士山麓工場における既存取引先深耕や新規取引先開拓も寄与して増収だった。拠点別の売上高は本社工場が3.8%増の18億39百万円、関西工場が6.7%増の12億62百万円、富士山麓工場が48.7%増の4億43百万円だった。利益面は、大豆や食用油など原材料価格の高騰、原油価格上昇による包装材料の値上がり、エネルギー価格高騰による光熱費の増加などにより減益だった。なお計画比では、売上高がやや未達だったが、経費抑制効果も寄与して各利益は概ね計画を上回る水準で着地した。
通期は、営業強化や新製品などの効果などで増収だが、原材料価格や光熱費の高騰の影響で減益予想としている。ただし通期予想に対する第1四半期の営業利益進捗率は25.9%で、過去3年平均の第1四半期営業利益進捗率12.7%を大幅に上回る水準だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株価は底打ちの動き
株価は上場来安値圏で軟調だったが、動意づく形となって底打ちの動きを強めている。週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。出直りを期待したい。12月23日の終値は1357円、今期予想PER(会社予想のEPS55円04銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(会社予想の28円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績のBPS1101円71銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約95億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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