ニッチだが不可欠&好収益電子材料:デクセリアルズの株主還元策

2022年11月8日 08:25

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本社・栃木事業所(栃木県下野市)で新たに建設を進めている「レセプション棟」のイメージ。2023年春に完成予定。(画像: デクセリアルズの発表資料より)

本社・栃木事業所(栃木県下野市)で新たに建設を進めている「レセプション棟」のイメージ。2023年春に完成予定。(画像: デクセリアルズの発表資料より)[写真拡大]

 デクセリアルズ(東証プライム)の好収益状況が続いている。異方性導電膜や光学弾性樹脂など、ニッチな電子部材の強みが特徴。

【こちらも】デクセリアルズが「ニッチでリッチ」とされる訳

 2021年3月期の「145.6%営業増益」に続き、前3月期も「135.0%の営業増益」。高くなった下駄を履きながらも今3月期も、「14.9%増収、16.4%営業増益、18.3%経常増益、20.0%最終増益、5円増配65円配」で立ち上がった。

 そして10月31日の中間期開示と同時に、上方修正。売上高こそ1100億円に据え置きも、「31.4%の営業増益(350億円)、29.1%の経常増益(323億円)、32.0%の最終増益(220億円、最高益連続更新)」へ。

 理由を「円安の進行。高価格帯新製品の貢献・伸長に加え、中価格帯製品の採用増が寄与」としながら、「第3四半期以降は中国のコロナ政策やサプライチェーンの混乱による、最終製品の需要減速などの事業環境の不透明感を踏まえ、リスクを織り込み通期売上高は据え置いた。なお第3四半期以降の為替レートは1ドル118.0円から、145.0円に見直した」としている。だが言い換えれば、「145.0円想定で売上高は伸びる。伴い利益面も」と下半期にも自信は示している。

 135%の営業増益となった前期でみると、状況は、こんな具合だ。

★光学材料部品事業: 「光学フィルム」は反射防止フィルムがノートPC用ディスプレイ向けや、車載搭載向け製品ともに数量増。第1四半期から蛍光体フィルムが本格寄与。「光学樹脂材料」は、光学弾性樹脂がタブレット・車載向けに数量増。スマフォ向け精密接合用樹脂の好調。72.1%の増収(491億5900万円)、137.7%の営業増益(131億2700万円)。

★電子材料部品事業: 「接合関連材料」が車載やノートPCで数量増。異方性導電膜が主にスマフォ向けモデルが拡大。カメラなどの各種センサーモジュール向け新製品が寄与。表面実装型ヒューズが電動工具・電動バイク・コードレス電動クリーナー向けに、伸長。26.2%増収(471億9500万円)、101.0%営業増益(153億400万円)。

 スパッタリング技術の反射防止フィルムの世界シェア97.1%に象徴的に、大手企業が採算面から足を踏み入れない分野で確固たる位置を固めている点が強み。

 2024年3月期を最終年度とした中計は、2年前倒しで達成。新たな中計設定の有無は興味深い。と同時に決算説明会などで公約している、「毎年、自社株買いを実施」「総配当性向40%」の継続も株主にとってはホールドのポイントとして注目に値する。

 ちなみにデクセリアルズの株を上場初値で買い7年3カ月余り保有していると、パフォーマンスは2倍強。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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