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日豪首脳、JAXAによる火星衛星探査カプセルの豪州着陸を支援 共同声明
JAXAは2024年に、世界初となる火星衛星サンプルリターンミッションMMX(Martian Moons eXploration)の打ち上げを計画している。10月22日にオーストラリア・パースで行われた日豪首脳会談で、日本の同ミッションでのカプセルのオーストラリア着陸を原則的に支援することが確認され、共同声明として発表された。
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オーストラリアは、”はやぶさ”や”はやぶさ2”のサンプルリターンミッションの着地点として、ニュース映像が何度も放送され、日本の宇宙科学研究活動に対する理解ある国として知られている。
日本国内でもあまり知られていない火星衛星探査計画MMXは、2024年度に打ち上げ、2025年度に火星周回軌道到着、2029年9月に地球に到着が予定されている。これはNASAとESAが共同で検討を進めているマーズ・サンプル・リターン(MSR:Mars Sample Return)計画のサンプルリターンスケジュール(2030年代の初頭)より実現時期が早く、その頃には今は無名に近いMMXも世界中の注目を集めることになるだろう。
MSRが火星本体からのサンプルリターンであるのに対して、MMXは火星の衛星フォボスからのサンプルリターンミッションのため、ターゲットが異なる点は認識しておく必要がある。
フォボスは直径約22kmと小惑星並みに小さく、しかも火星の表面から約6000kmしか離れておらず、月が地球から約38万kmも離れていることを考えれば、火星の非常に近くを周回していることがわかる。
このことから火星で起きた隕石衝突時に飛散した残骸が、フォボスの表面にもたくさん降り注いでいることが考えられる。つまりMMXは、フォボス誕生の謎の解明に迫るだけでなく、かつて火星表層にあったと考えられる物質の回収を通じて、火星環境に関する様々な情報収集もできる可能性を秘めたミッションなのだ。
MMXがどんな新しい情報をもたらすのか7年後が楽しみだが、その頃には地球の月がなぜ身分不相応に大きく、なぜ火星の衛星フォボス、ダイモスがこぢんまりとした存在なのかという素朴な疑問に対する答えも明確になっているかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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