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インバウンドには円安抑制の効果も!? 経済活性化への期待は?
●入国規制が緩和
10月11日から新型コロナウイルスの水際対策が緩和された。それまで1日5万人だった入国者上限が撤廃され、訪日客の個人旅行も解禁された。
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一昨年のパンデミック以降、入国制限が続いていたが、今回の撤廃でコロナ前の規制にほぼ戻ったことになる。すでに街では多くの外国人観光客で賑わっている。
約3年間苦しんできた旅行業界や航空業界などの企業などのサービス業は、国内の旅行支援制度とともに期待度は高い。
一時1ドル=150円を突破した円安効果も追い風となることが期待される。
●インバウンドによる円安効果!円安の歯止めにも!?
円安は訪日外国人にとっては、物価安となり、日本での買い物などの消費を促す効果期待できる。
日本では高価な品物でも、訪日外国人からすれば、円安により物価安と感じられ、購買意欲が上がる。家電、化粧品・香水、医薬品などが人気で、時計などの高級品を購入する外国人も多い。
日本は円安による貿易赤字が膨張しており、経常収支の赤字転落も秒読みと言われる。経常収支の赤字はさらなる円安が危惧される。
インバウンド再開によって、日本人旅行者の海外での消費から訪日外国人の日本での消費を引いた、経常収支の中の1つの指標である旅行収支の改善も見込まる。外貨から円への交換も必要であり、インバウンドは円安に歯止めをかける効果も期待される。
●2019年に戻れるか?
ほぼ停止状態だったインバウンドの復活は、サービス業の業績や日本経済にとって、円安を追い風にして経済活性化の期待がかかる。
コロナ前の2019年は過去最多の3,188万人の訪日外国人を受け入れていた。外国人旅行者の消費額も約4.8兆円だった。日本政府は2030年には年間6,000万人の目標を掲げている。
6月に入国者の上限数を1日2万人にしたが、その時から外国人観光客の戻りは芳しくない。
まだ再開されたばかりではあるが、他国は先駆けて再開していることなどから、簡単には観光客が戻らないという意見もある。
コロナ前から課題であったホテル不足やオーバーツーリズムの問題などの解消は進んでいない。
欧米などとの金融政策の違いから円安の是正には時間がかかり、安い国というイメージだけが定着する恐れもある。
コロナ前のインバウンド状態に戻るには、まだまだ時間がかかりそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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