日産とルノーの出資見直しで、対等な関係構築へ (上)

2022年10月21日 11:34

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 日産と仏・ルノーとの間で行われていた出資比率をめぐる交渉で、ようやく双方の妥協点が見えてきた様だ。

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 日産にとってルノーは、1999年に経営危機に陥った際に、窮地を救ってくれた救世主だ。当時の力関係でたどり着いた出資関係は、ルノーが日産の株式の43%を保有するのに対して、日産がルノーの株式の15%を保有するという、圧倒的な力関係の格差を生み出した。

 当時崖っぷちにいた日産に、条件を云々する余裕はなかったし、その後の復活の原点であることを考えて、日産は表立って声高に資本関係の改善を口にすることは控えてきたが、不満は燻っていた。

 カルロス・ゴーン被告が突然逮捕収監された衝撃の事件以後には、ルノー株の15%を保有して筆頭株主の立場にあるフランス政府が、ルノーと日産の経営統合を意図していたと思われる状況が明らかになると、ルノーに対する反発が芽生え、両者の間に微妙な雰囲気が生まれた。

 今回、ルノーが出資関係の見直しを決断した背景には、自動車業界に吹き荒れるEV化の動きと、ロシアによるウクライナ侵攻がある。

 ルノーが方針を転換した要因は、大きく2点に集約される。1つ目は、世界で脱炭素の機運が急速な高まりを見せ、フランス政府の影響力が大きいルノーがEV化をリードする1社になろうとしたことだ。一足早く米フォード・モーターは、EV車事業とエンジン車事業を独立採算制にして分離することを3月に発表している。

 2つ目は、ロシアによるウクライナ侵攻の煽りを受けて、ロシア事業からの撤退を余儀なくされたことだ。フランス政府から大きな影響を受けるルノーは、経営的な判断を飛び越えてロシアから撤退した。

 ウクライナのゼレンスキー大統領が3月23日、フランス議会で行われたオンライン演説で「ルノー等はロシア市場から撤退すべきだ」と名指しされたことが、決定打になったのかも知れない。

 ルノーはロシアの子会社アフトワズで、「ラーダ」という人気ブランドを販売していた。世界における存在感が高いとは言えないルノーにとって、ロシア市場は自国に次ぐウエイトを占めていたから、喪失の影響は大きい。1~6月期に1800億円の連結最終損失を計上したことがそれを物語る。

 そのルノーがEV化を推進して、ロシア事業の撤退をもカバーする妙案として繰り出したのが、かねて日産との関係を微妙にしていた出資関係の見直しだ。日産に恩を売りながら、自社のプライドを傷つけることなく、多額のキャッシュを手に入れることができる奥の手だ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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