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火星誕生初期にメタン生成微生物が存在した可能性 ソルボンヌ大らの研究
火星とその衛星のイメージ。[写真拡大]
メタン生成微生物は地球でもかなり昔から存在しており、水素を材料としてメタンを生産する特徴を持つ。産業技術総合研究所(産総研)は2016年、石炭を天然ガスに変える性質を持つメタン生成微生物を発見しており、地球における天然ガス資源の生成にこれが大きく寄与してきた可能性が示唆された。このことはメタン生成微生物が、地球環境の変化に大きな影響をもたらしてきたことを意味している。
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地球も火星も誕生して間もない頃はよく似た環境にあったが、太陽からの距離の違いやそれぞれの質量の違いに起因する様々な影響によって、長い時間をかけて大きな違いがもたらされたのだ。だが裏を返せば、地球誕生初期から存在していた生命とよく似たものが、火星誕生初期にも存在していたかもしれないと考えるのは自然な発想だろう。
ソルボンヌ大学らの研究者は、火星誕生初期の環境を再現したモデルによるシミュレーションにより、生命活動の可能性とそれによってもたらされる火星環境変化に関して調査。その研究詳細を、Natureで公表している。
研究によると、37億年以上前の火星の環境は、生命が生息できる条件を備えていた可能性があることが示唆するという。さらに初期の火星において、メタン生成微生物が大量のバイオマスをもたらし、それによって火星の気候の寒冷化が起きた可能性があることも示された。
つまり火星誕生初期においては、生命は火星の表面付近での生息が可能であったが、生命活動によってもたらされた寒冷化によって、表面付近での生息が困難になり、より深い場所へと生息環境が追いやられていった可能性があるのだ。
生命活動による寒冷化は火星表面をマイナス230度程度まで冷たくしたため、生命体は火星の地殻よりも深い場所へと移動を余儀なくされた。この結論は、火星表面でもしも生命の痕跡を探り当てることができたならば、より深い場所を根気よく探索すれば、生きた生命体に巡り会える可能性もあることを示唆しており、非常に興味深い。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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