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クレディスイスショックはあるのか?
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●クレディスイスのCDSが急上昇
スイスのトップ銀行であるクレディスイスの株価が3日、一時約12%下落し、上場来安値を更新した。クレディスイス債のCDS(クレディット・デフォルト・スワップ)も過去最高水準にまで上昇した。
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ドイツ銀行など他の欧州金融機関のCDSも上昇し、リーマンショックの再来を彷彿とさせると市場関係者の間に緊張が走っている。
インフレ上昇を抑えるため、各国が急激な利上げをせざるを得ず、欧州もついていかざるを得ない。急激な利上げは景気の悪化を招き、経営体力の無い金融機関は破綻するリスクがある。
クレディスイス発のリーマンショックの再来が危惧されるのか?
●CDSとは?
CDSは信用リスクを対象とするデリバティブの一種である。
発行体のデフォルト(債務不履行)を担保するための保険でもある。対象となる発行体が破綻などで、債券の金利や元本の支払いができなくなった場合に支払われる。1990年代半ば頃にロンドン市場で取引が始まった。
リーマンショック時にはCDSの売り手の金融機関が大きな打撃を受けた。
アメリカに本部を置く保険会社AIGはCDS関連商品の保証をしており、AIGが破綻すれば債務不履行となる。
サブプライムローン問題などで経営危機に陥ったAIGは、公的資金の注入により休載されたが、それ以降CDSの取引残高は減少した。
●クレディスイスは破綻するのか?
クレディスイスは昨年顧客情報が漏洩し、マネーロンダリングに使われていたことが発覚。その口座には約80億ドル(約1兆1,600億円)が保有されていた。
米アルケゴスとの取引でも巨額の損失を出すなど、不祥事が相次いだ。第2四半期まで3期連続の赤字となり、今期も赤字になることが濃厚である。経営陣も刷新し、大幅なコスト削減が予想される。
ケルナーCEOは「資本ベースや流動性の状況は力強い」と問題が無いことを強調しているが、リーマンショック時にも当時のリーマンブラザーズCEOは同様の発言をしており、安心には繋がらない。
だが万が一の時でも公的資金の注入や、他行との合併などで、救済するだろうという楽観論もある。いずれにせよ、今後の行方に注目したい。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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