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米国の歳出・歳入法はインフレ抑制になるのか!?
●米国で歳出・歳入法が成立
バイデン米大統領は16日、歳出・歳入法に署名し、同法が成立した。
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同法は、気候変動対策への投資拡大や企業増税などを盛り込んでおり、予算は約4,300億ドル(約58兆円)にも上る。
先日、成立した半導体法案(CHIPS法案)とともに、11月の中間選挙に向けての実績アピールとしたいようで、バイデン氏自身も「気候変動への前進」と訴えている。
“インフレ抑制法案”とも称されているが、本当にインフレ抑制につながるのだろうか?
●歳出・歳入法とは?
歳出・歳入法は、電気自動車(EV)などのエコカー購入時の税額控除や、薬価の引き下げによる歳出の削減と、一部法人税引き上げなどによる大企業や富裕層への増税強化による歳入の増加を見込んでいる。
歳出の削減と歳入の増加を両立することによって、インフレの抑制に繋げるという目論見がある。
当初バイデン氏は、3.5兆ドル規模を目指していたようだが、党内からの反対もあり、約8分の1の4,300億ドルとなった。昨年はバイデン氏肝いりのビルト・バック・ベター(BBB)法を目指していたが、頓挫していたため、今回大幅に縮小しての成立となった。
●実際の効果は?
格付け機関などの見解では、中期的にインフレを抑制し、財政赤字を削減することに貢献すると見られている。
医薬品の価格改定などは、国民の暮らしに直結する内容もあるが、80%以上は気候変動に対する内容となっている。自然エネルギーの普及や家庭用品の電化、効率アップなど、従来型の脱炭素化を促進するだけに過ぎない面が否めない。
効果が出るのは今年や来年でなく、2~3年先という格付け機関の見方もある。
現在のインフレはコロナ禍からの巻き戻し、さらに追い打ちをかけるかのようなロシアのウクライナ侵攻による資源価格の高騰であり、それが自然エネルギーでは代替できていないのが現状である。
これらの問題を法案によって解決できるのかという疑問の声もあり、次の大統領選挙までにこれが実績となるかどうかも疑わざるを得ないだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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