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NZドル、再び高金利通貨へ 今後の行方は?
●NZ中銀が連続利上げ
ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は13日、政策金利を0.5ポイント引き上げて、3%とすることを決定した。7会合連続の引き上げとなり、0.5ポイントの大幅引き上げは4会合連続となる。
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NZ中銀は5月以降にインフレ圧力が強まったとの声明を発表している。今後も利上げを続け、年内には3.5%、来年には4%でピークに達すると見ている。
かつてはオーストラリアとともに高金利通貨として人気が高かったNZドルは、利上げで再び高金利通貨としての地位を確立するのだろうか?
●オージードルとキウイドルの関係
ニュージーランドはオーストラリアの隣国で、経済的な結びつきも強く、通貨もオーストラリアドルと同じような動きをする傾向がある。オーストラリアドルは“オージードル”、NZドルは名産であるキウイにちなんで“キウイドル”と呼ばれることも多い。
連動はするが、金や鉄鉱石の資源が中心のオーストラリアと、乳製品や農産物の輸出が中心のNZでは、経済構造は大きく異なる。輸出先はオーストラリアと中国で輸出総額の半分近くを占めるため、両国の景気に左右されやすい。
●高金利通貨として定着するか?住宅ローンの問題も
NZ中銀は10月にも0.5ポイントの利上げに動くと見られている。雇用市場の強さもNZ中銀をタカ派にしている。
NZは他の国と同様に、コロナ禍で金融政策・財政政策を総動員させた。その結果、国民のライフスタイルの変化もあのって、不動産バブルとなり、不動産価格の高騰を招いている。
平均販売額がコロナ前の倍以上に高騰しているが、資材の高騰に加え、移民政策での人口増もあり、販売戸数が極端に足りない“売家不足”の状態が続いており、さらに高騰するという悪循環に陥っている。
不動産バブルとなれば、住宅ローンのことを考慮し、利上げには神経質にならざるを得ない。だが仮に4%となっても、8%だった時代に比べればまだ安いという見方もある。
7月の住宅価格は2011年以来の下落となったことから、リセッションへと向かう懸念もあり、米国同様に景気の悪化により、利上げのペースを落とさざるを得なくなる可能性も否定できない。
高金利通貨復活への道は一筋縄ではいかないだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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