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外食も値上げラッシュ、平均77円アップ 円安・食材高騰、原価率急騰で
帝国データバンク、「主要外食100社」価格改定動向調査。3割が過去1年に値上げ。原価率が18年ぶり急騰、上昇幅は過去最大[写真拡大]
コロナ禍で大打撃を受けた外食産業であるが、今度は円安による原価率急騰で苦しめられているようだ。既に多くの外食店が値上げに踏み切っているが、ウクライナ侵攻によるエネルギー価格と穀物価格の高騰に加え急速な円安が進んでおり、今後さらなる値上げラッシュとなりそうだ。日本の外食産業は低価格にもかかわらず美味いのが特徴だが、その安さの背景には食材の多くを輸入に頼ってきたということがある。現在の急速な円安は輸入食材の価格高騰に直結し、このまま円安傾向が長期化すれば夏頃より外食各社で値上げラッシュが始まる可能性が大きい。
4月30日、帝国データバンクが「主要外食100社、価格改定動向調査」の結果レポートを公表しているが、これによれば、外食産業の原価率が18年ぶり急騰しており、上昇幅は過去最大となっている。主要外食100社の3割が既に過去1年に値上げを実施しており、その値上げ幅は平均77円アップとなっている。値上げを実施した29社のうち半数にあたる15社が2022年に入ってからの直近の4カ月間で値上げを実施しており、そのペースは加速しているようだ。
値上げを実施した企業を見ると牛丼店やファミリーレストラン、うどんなど低価格を売りにしているチェーン店が目立っている。値上げ幅では平均77円だが、消費者への影響を最小限に抑えるため、主力の低価格商品では値上げ幅を最小限に抑え、大盛サービスなどの追加料金や中高価格帯メニューで値上げ幅を大きくするなどといった工夫もみられる。値上げの要因となっている食材等では「食肉」「小麦粉」「原油」などが目立つ。また、コロナ禍でテイクアウトなどに注力した企業ではスタッフを配置するための人件費の増加も負担となっているようだ。
外食各社の原価率は急速に悪化しており、21年度業績が判明している約600社の売上高に対する売上原価率の平均は37.5%となっており、前年度の36.3%から1.2ポイント上昇している。上昇幅が最も大きいのは喫茶店で原価率平均は36.9%、輸入コーヒー豆の急騰が背景にある。この他、イタリアンやフレンチなどのレストランの39.6%、そば・うどん店36.9%、安価なメニューが多い大衆食堂44.4%、居酒屋35.9%で上昇幅が大きい。また、供給網の混乱や円安による輸入食材の高騰に加え、居酒屋などでは人手不足を背景に人件費高騰が経営を圧迫しているケースもみられるようだ。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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