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乱高下する原油価格の行方は?
●4月に入り原油先物が乱高下
ロシアのウクライナ侵攻以来急騰していたWTI原油先物であるが、4月に入り一時1バレル=100ドルを割れる場面もあった。
【こちらも】ロシアのデフォルト危機、その影響は?
トルコで再開されたロシアとウクライナの停戦交渉への期待、上海のロックダウンなど中国での新型コロナ感染拡大による経済への影響、OPECプラスの小幅な増産ペースを維持するという見方などで、利食いされた可能性がある。
これらの問題はすぐに解決できるわけではない案件ばかりで、関連した新しいニュースが出ると上下しやすい。
原油は11日に底をつけた後再び約15%上昇し、100ドルを超えるなど、予測不能な動きをしている。上昇要因と下落要因が入り混じっているが、果たしてどちらに向かうのか?
●気になる中国の新型コロナ感染拡大
3月28日からロックダウン(都市封鎖)に入っている中国・上海だが、新型コロナ感染拡大が収まらない。長期化も懸念されるが、13日には一部緩和されたことが好感されて、原油先物も上昇した。
上海はテスラなど多くの海外企業が進出しており、ロックダウンは再びサプライチェーンに重大な影響を及ぼしかねず、世界経済への影響も懸念される。
実質GDP成長率は目標を下回っており、原油需要への波及も避けられない。
●中期的に原油価格はどうなるのか?
上海のロックダウンも気になるところではあるが、いずれは収束するだろうと見ている投資家は多いだろう。コロナはほとんどの世界で正常化に向かっており、2020年のようなことになる可能性は今のところ低い。
中国のゼロコロナ政策の転換が焦点で、ゴールはそう遠くはない。
一方のウクライナ危機は終わりが見えず、EUのロシア産原油の段階的禁輸が本格的に決定されれば、さらなる価格上昇となるだろう。ロシア側の経済制裁への反発も気になるところである。
6月にはOPEC総会が開かれ、増産の議論もあるだろう。毎年6月と11月に行われるが、前回、前々回と世界情勢は目まぐるしく変化しており、難しい舵取りが迫られる。
一時的な下落はあるだろうが、基本は原油高の要素の方が当面は大きそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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