いまさら聞けないクルマの「ADAS」とは 新製品でデンソーが競合を一蹴 市場をリードか?

2022年2月27日 16:10

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記事提供元:エコノミックニュース

1月14日に発売したトヨタの新型ミニバン「ノア」「ヴォクシー」に積んだデンソー製新世代ADASセンサー「GSP3」(Global Safety Package3)。1個の単眼カメラと1個のミリ波レーダーで構成するセンサーで、基本的な構成は第2世代ADAS(GSP2)と同じだ。が、性能を大きくブラッシュアップ、利用シーン拡大と小型化・低コスト化を両立させた。コストはGSP2と同水準

1月14日に発売したトヨタの新型ミニバン「ノア」「ヴォクシー」に積んだデンソー製新世代ADASセンサー「GSP3」(Global Safety Package3)。1個の単眼カメラと1個のミリ波レーダーで構成するセンサーで、基本的な構成は第2世代ADAS(GSP2)と同じだ。が、性能を大きくブラッシュアップ、利用シーン拡大と小型化・低コスト化を両立させた。コストはGSP2と同水準[写真拡大]

 トヨタ系大手サプライヤー「デンソー」が、昨年末に競争力強化に向け、グループの機能分社4社を2社へ再編・統合した。

 デンソー本社の子会社である、これまでのデンソーユニティサービス、デンソーウェル、デンソー財経センター、デンソーセイビの4社は2022年4月1日に統合再編、「デンソーユニティサービス」「デンソーシェアードサービス」の2社としてスタートする。

 デンソーグループは先般、デンソー変革プランとして「Reborn(リボーン)21」を打ち出し、昨年から展開。事業環境が大きく変化するなかで、新たな価値を創出し続けることを目指し、デンソーグループの質向上と競争力強化を進めている。

 新会社「ユニティ」はデンソー本体を中心に、デンソーグループとそこで働く社員の安心・安全を守ることをミッションとする。また「シェアード」はデンソーグループ各社へシェアードサービスによるソリューションを提供し、グループ全体の発展に寄与することを最大の業務としてグループ全体の競争力強化に貢献する。

 さて、ここからレポートの本題に入ろう。業務計画を含めて再編途上のデンソーが「ADAS」で、競合他社に一歩リードする製品を実用化。ライバルに対して反撃を始めた。同社が1月14日に発表した第3世代ADASセンサーは、交差点における出合い頭衝突への対応や、高速道路の「ハンズオフ」走行などの新機能を搭載した。第2世代と同等の価格に抑え、新世代センサーで国内外の有力な部品メーカーをリード、対抗する。

 ところでADASとは何なのか? 簡単に云うと「Advanced Driving Assistant System」の略称(エーダスと読む)で、先進運転支援システムの総称だ。ドライバーが安全かつ快適に運転できて、クルマに搭載したシステムが周囲の情報を取得して警告したり、クルマを制御することで事故を防止し、運転を支援する機能の総称を表す。

 ADASが注目されている背景のひとつが、国土交通省による「ASV推進計画」だ。ASVとは「Advanced Safety Vehicle」の略称で、先進技術によって自動車の安全な運行を支援する機能を搭載した自動車のこと。つまり、ASVに搭載される先進安全運転支援システムがADASだ。

 デンソーが発表した第3世代ADASセンサーは今回、トヨタの新型ミニバン「ノア/ヴォクシー」に搭載、予防安全性能の強化や運転負荷の軽減を実現した。この第3世代ADAS「GSP3」はすでに、日野の中型トラック「レンジャー」と、レクサスのSUV「NX」に搭載している。

 トヨタの新型ミニバンに搭載したシステムはセンサーの種類や数、提供する機能を減らすなどでコストを圧縮、300万円以下の車両への設定も可能となった。

 新型のGSP3(写真)は、1個の単眼カメラと1個のミリ波レーダーで構成するセンサーで、その基本的な構成は第2世代ADAS(GSP2)と同じだ。が、性能を大きくブラッシュアップすることで、利用シーン拡大と小型化・低コスト化を両立させた。コストはGSP2と同水準だという。

 このセンサーを使った新型ノア/ヴォクシーの自動ブレーキは、交差点における車両や二輪車との出合い頭衝突を回避できる。加えて、交差点を右折する際の直進対向車や右左折時に前方から来る歩行者や自転車にも対応する。

 このほかに新型ミニバンでは新型GSP3を使って、車線変更支援、カーブ時の減速支援機能、運転時のリスクを先読みして対象物に近づき過ぎないように操舵やブレーキ操作を支援する機能なども装備した。

 2021年11月から段階的に行なわれている新車への自動ブレーキの装着の義務化により、ADASへの注目は加速している。自動ブレーキは、ADASの機能のひとつで、静止車両と走行車両、歩行者のそれぞれに対し、試験による国際基準が定められている。

 グローバル市場で自動車メーカー各社は将来的な交通死亡事故ゼロの実現に向けて、自動運転技術の実用化に向けた前段階として独自のADAS搭載車種拡大を推進。それと並行して、システムの性能や機能向上に取り組んでいる

 具体的には本稿のトヨタ(デンソー)新世代型システムToyota Safety Senseのほか、日産がSerena等に搭載しているPro PILOTやホンダのHonda SENSING、スバルのEye Sightツーリングアシストなどである。いずれもクルマが動くと同時に搭載したADASシステムが作動し、適正な加減速・操舵を支援、渋滞から高速巡航までのドライバーの負担軽減を図りアシストし、事故防止につなげる。

 なお、2021年11月から自動ブレーキの装着が義務化されたのは国産車のうちフルモデルチェンジした新車で、既存車種には2025年12月から装着が義務化される。輸入車は、2024年7月からフルモデルチェンジした新車が対象となり、2026年からは既存機種の新車にも適用される。(編集担当:吉田恒)

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