関連記事
配当性向40%を謳う:スクロールに覚える投資妙味
「好配当性向」株に照準を合わせるのも、健康的な株式投資と考える。それを今回、スクロール(東証1部、4月にプライム市場移行)の第3四半期時点での「上方修正」で改めて痛感した。
【こちらも】かつて四季報は買うものではなく、貰うものだった!?
スクロールのビジネスの主軸は、女性向けアパレル・雑貨・化粧品(PB商品にも特徴)・健康食品などの通販事業。BtoC、及びBtoBtoC(素材メーカー⇔アパレルメーカーのBtoB事業の販促支援)。加えて目下成長中の(雑貨・化粧品・美容品軸の)Eコマース事業。
前3月期はコロナ禍の巣ごもり需要が牽引。「17.3%の増収、3.44倍の営業増益」と大幅な増収増益となったが今期は、「需要高止まり/反動減」を勘案し「6.1%の減収、20.2%の営業減益」計画で立ち上がった。
だが第3四半期開示と同時に上方修正。しかし売上高は期初計画と変わらずの、800億円。対して営業利益は「10.3%減益:67億円」。減益幅の圧縮をスクロールでは、「第3四半期におけるコロナ感染症による巣ごもり需要が継続したことに加え、収益力強化に向け取り組んだ各施策の効果」云々とした。
その限りでは同社を株式投資の俎上対象銘柄として、候補にはしない。同時に発表された「配当予想の修正」―その理由に目を惹かれた。
期初の配当は、前々期比実績60円に対し未定。第2四半期開示時点で44.00円。そして今回期末配を3.50円に引上げ54円とした。その理由をこう発信した。「利益還元を経営の最重要課題と位置づけ、『年間配当金20円を下限に、連結配当性向40%を基本方針としている』。今回の利益予想引上げに伴うEPSの上昇に対応した結果」。
配当性向40%は、収益動向に一定の裏付けが確信できなくては掲げられるものではない。
前期の大幅増収益を先取りする形で株価は昨年2月に1485円まで買われたが、以降は多少の戻りを挟みながらも12月の750円まで総じて右肩下がり。本稿作成中の時価は900円台入り口と、戻り過程と捉えることも出来る。ただ「下値ゾーン」の範疇。予想PER:6倍強、PBR1倍余と市場人気に高まりの傾向は依然見られない。
だが予想税引き後配当利回りは、4.8%近く。単元株(100株)投資:手数料込10万円水準で手に出来る配当金としては、魅力は十分。
無論、投資顧問資格を有していないわたしは「お買いになるタイミングではないでしょうか」などと言える立場に身を置いてはいない。が、依然金利の反転が予想できないいま、(手取りの)年利回りが5%前後という金融商品は少ない。株式市場の動向も一定感に乏しい中、「好配当性向」を謳う企業を投資対象の俎上に置くのは無意味とは思えない。如何だろうか!?(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク