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最先端半導体に不可欠な部材企業:トリケミカル伸長の実態
半導体は「産業の米」と言われる。周知の通りその「米不足」が世界経済、とりわけ日本経済の復活阻害要因となっている。昨年6月17日の日経ビジネス電子版では、厳しい日本の半導体メーカーの失墜を危惧し編集委員の山川龍尾氏が『半導体はコメより重い』と題する記事を配信している。
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日本の産業界の半導体不足問題は、今後どんな推移・展開を示すのか。前にも記したが、半導体生産に必須の部材メーカーは日本でも少なくない。例えばトリケミカル研究所(4369、以下トリケミカル)など、その重鎮企業。最先端半導体に必要な化学原料を、多品種少量生産している。そんなトリケミカルの収益動向の推移を目にすると、「日本の半導体不足にも光明が」といった思い(期待)を抱かせる。
前1月期は「18.6%増収、15.7%営業増益、14.9%最終増益(過去最高益更新)」。今期は「6.2%増収、0.3%営業増益、2.7%最終増益(同)」と慎重に立ち上がったが、第2四半期開示と同時に、「12.2%の増収(110億円)、9.6%の営業増益(29億5000万円)、14.9%の最終増益(38億8000万円)」に上方修正した。
その理由を「半導体業界の各社の高い稼働率の継続を受け、最先端半導体向け需要が旺盛だったこと。持ち分法適用会社の韓国の関連会社が想定を上回る伸びを見せていること」としている。第3四半期も修正計画に対し「85億2700万円、23億5000万円、31億5900万円」と、着地に更なる上振れを予想させる状況。
先に「日本の半導体不足にも光明が」と記した。それは第3四半期の決算資料の中に、感じさせる文言が含まれているからだ。
「自動車業界の半導体需要に追い付かない供給に向けた解消に、国内外で半導体製造装置への活発な投資が見込まれている。当社グループでも日本・台湾・韓国を中心とする東アジア地域に向けて、需要増加に応えるべく生産設備や人材の増強を行うことに積極的に取り組んでいる。上野原拠点は第2工場に最後のプラント増設が完成。第3工場の適地選択中。台湾子会社の工場立ち上げと、各種認証の取得」といった具合だ。
そうした流れは24年1月期を最終期とする中計にも見て取れる。こんな数値目標が掲げられている。「売上高(21年2月期比)21%増の119億6000万円、営業利益8%増(29億1000万円)、純益7.5%増(36億3000万円)」。多くのアナリストが「積算の下値ゾーン」と着実な増収増益が見込まれている。
昨年の大発会:4250円で始まり2月末に1対4の株式分割を経ながら、大納会終り値3645円。実質3.4倍の値上がり。
収益・株価動向が順調に進むことは、日本の「産業の米」の需給ギャップ解消を意味すると捉える。
昨年1年間の株価動向は大発会の初値:5042円から大型株式分割を挟み総じて右肩下がり。7月2914円で底入れ後、反発基調で大納会を通過(3645円)。IFIS目標平均株価4350円を勘案すると押し目買い姿勢でまずは4000円台回復が一里塚か。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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