屋外広告枠をNFT化し販売する実証実験 LIVE BOARDや電通らが 国内初

2022年1月18日 08:17

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実証実験を行う表参道の屋外広告媒体(画像:LIVE BOARDの発表資料より)

実証実験を行う表参道の屋外広告媒体(画像:LIVE BOARDの発表資料より)[写真拡大]

 電通グループとNTTドコモのジョイントベンチャーであるLIVE BOARD(ライブボード)は17日、屋外広告枠をNFT(非代替性トークン)化し販売する実証実験を行うと発表した。実証実験は、電通、デジタル資産関連事業を手がけるスタートアップのBridges、暗号資産メディアなどを展開しているCoinPostと共同で行う。屋外広告の権利をNFT化し販売する実証実験の取組みは、日本初という。

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 実証実験では、表参道の建物屋外に設置されたデジタルサイネージ「青山ストリートビルボード」の広告枠をNFT化し、販売する。NFTはブロックチェーン技術を用いたデジタル資産の1つで、付加された固有IDで唯一性と価値の証明ができる。2021年に話題を集めたNFTは、デジタルアートなどのコンテンツがメインだったが、今回の実証実験では、NFTをリアル社会の権利である広告枠の取引に活用するという。

 取引は、Bridgesが開発したNFTマーケットプレイス「Kaleido(カレイド)」を通じ、入札方式で行う。支払いには暗号資産のMATIC(マティック)を使用。広告掲載したい者は、Kaleidoの専用ページで、入札額や掲載したい広告画像(動画や静止画)などを登録する。

 入札者の制限はなく企業はもちろん個人も対象。入札内容は審査が行われ、通過者のみが広告掲載の権利を得る。審査は入札額とクリエイティブ品質の両面を評価し、入札額が最高額でなくとも品質が高いと評価された場合は、広告掲載の可能性があるという。

 広告配信の運用管理はLIVE BOARDが担い、広告枠のNFT化などはCoinPostが、実証実験の全体企画・設計・検証などは電通が行う。

 広告配信を担うLIVE BOARDは、デジタルOOH(Out Of Home)広告事業を行う会社として2019年に設立。デジタルOOH広告とは、家庭以外の建物・交通・商業施設などに設置されたデジタルサイネージを用いた広告媒体を指す。

 同社はドコモ端末の位置情報などを用いてデジタル広告の推定視認数を計測・分析し、データに基づく配信を行う点に特徴を持つ。また電通と連携し、OOH広告による世の中の話題感醸成と商品購入意向を促す効果を検証する取組みなども行っている。

 LIVE BOARDは、実証実験に至った背景として、屋外広告枠購入の多様化を挙げている。米国では、NFTアート保有者が屋外広告枠を活用して自身のコレクションを掲載するといった取組みが行われており、それに対応できる市場が求められているという。

 実証実験の実施期間は2022年1月17日~23日を予定。LIVE BOARDらは今回の取組みを通じ、よりグローバルで開かれた、日本の屋外広告枠取引市場の可能性を模索していく方針だ。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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