ロエベ 2022年春夏コレクション - 歪みが生む挑発と官能

2021年10月12日 18:22

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記事提供元:ファッションプレス

 ロエベ(LOEWE)の2022年春夏コレクションがフランス・パリで発表された。今季のロエベは、ルネサンス期後期に見られたマニエリスムの世界に着目している。

■歪みが作り出す、自然を凌駕する美しさ

 マニエリスムとは、自然に従うルネサンス期の様式に、あえてねじれや歪みを取り入れた美術。どこか“不自然”だと感じる強調や転換を取り入れることで、自然の美しさを凌駕する新しい美を目指したという。コレクションを見てみれば一目瞭然で、今季はドレスもパンツも不自然な歪みが生じている。

 ランウェイの最初を占めた、一切装飾のないドレスルックは、通常ならばありえない角や垂直なラインによって“仮想のボディ”を浮かび上がらせている。また、大胆に組み込まれた、波打つシルエットのメタルプレートは、見るものに人間の身体のライン忘却させ、ドレスをひとつの彫刻へと書き換える。

 服からの逸脱は、ドレープの効いたセンシュアルなドレスにも通ずるものがある。まるで布1枚を纏うトーガのように単純化されたデザインで、糸で縫うというよりは点や細い線でかろうじて布をとめているような印象。その挑戦的で官能的なシルエットからは、偶発的な美しさが生まれる。

 服によってあえて強調される肌も今季の特徴。例えば、スパンコールの輝きで満たされたドレスルックは、裾がアシンメトリーになっており、片足は穴から足を通している。ランウェイの後半に登場したドレスやトップスはフロントにクリア素材を用いて、ありえない肌の露出をもたらした。

 また、アウターは、防寒という機能性とはかけ離れたスタイルで、完全なる“不自然”から成り立っているといっていいだろう。前と後ろが逆、さらには通常なら袖を通して羽織るという固定概念から逸れ、開放的なドレスの役割を果たしている。

※本記事はファッションプレスニュースから配信されたものです。ファッションプレスでは、ブランド、デザイナー情報、歴史などファッション業界の情報をお届けしています。

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