日本のEVは最先端を行っている

2021年9月11日 12:16

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Photo:8月29付け日経8面 ©sawahajime

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●素人が簡単に考えるEV

 8月29日付の日経8面「NIKKEI Asia」に、鴻海の創業者・郭台銘(テリー・ゴウ)氏が、社内会議で「わが社が電気自動車(EV)を作れない事があるだろうか。EVはiPhoneに4つの車輪を付けたようなものじゃないか」と語ったとあった。

【こちらも】日本刀と青龍刀 日本と中国の自動車技術

 敢えていう。こんな考えの「ど素人」に自動車の何が判るのか。

 「単にモーターで動く乗り物」と「内燃機関に代えて、モーターを動力源とした自動車」は全く別物である事を理解していない。

 自動車業界で永年苦労して、現在の「自動車」という移動手段・運搬手段を構築した数多の業界人とっては、侮辱以外の何物でもない。

●家電メーカーに自動車は作れない

 スマホは、小型軽量化したパソコンと同じだ。

 携帯電話が少々進化しただけだから、「動画を見たい」とか、「ゲームをしたい」とかいった使い方を求めないで、通話とメールだけならガラケーで十分だ。

 そんなガラケーに、カメラを装備すれば便利だとか、出先でもパソコンみたいに添付資料が読めたり、ネットに接続して検索したり出来ると便利だと、いろんな機能が盛り込まれたのがスマホだ。「バッテリーの発火事故」でも起こさない限り、人命に影響は無い。

 非常に失礼な表現をすると、レベルの低い医師が歯科医師を見下した様な態度をとりがちなのは、「歯科医は人命に関係無い」みたいな意識があるからだろうが、家電は人命に影響しないのは事実だ。

 そんなスマホにしても、まともなバッテリーを搭載する事が出来ず、発火事故を再三起こした結果、一時期、航空機への持ち込みまで禁止されたメーカーもある。従って、変な意味でスマホも人命に影響するのは事実だが。

●バッテリーは危険を伴う

 現在でも全メーカーの携帯電話のバッテリー、モバイルバッテリーやカメラ・ビデオ等の予備バッテリーは、手荷物の中に入れるのは勿論禁止されている。

 それは、貨物室で万一発火事故が起これば、大事故に繋がるからで、目が届く手回り品として航空機内への持ち込む事になっているのだが、機内持ち込みまでが禁止されたのは、現在日本国内ではメーカー名を伏せて販売している某社のみだ。

 3月12日付「自動車メーカーの基礎体力」でも述べたが、自動車メーカーが蓄積して来た技術は、昨日や今日に首を突っ込んで来た企業には、理解する事すら困難だろう。

 日本刀と青龍刀の例えで論じた様に、鴻海に青龍刀は作れても、日本刀を鍛える事は絶対に不可能だ。

●日本のEV技術の方が先行している

 ネットでは、EV専業のテスラや、ガソリンエンジン自体を販売禁止にしようとする欧州の様な動きに惑わされて、外国に比べて日本はEVが遅れているとする誤った論調が見られる。

 しかし、毎度ネットを騒がせている「EV車発火事故」が全て外国製である事実に対し、日産・リーフや三菱・i-MiEV(アイミーブ)の様な国産EV車では発火事故は皆無である。

 「安全面」に確たる技術を持たず、発火事故は「統計上の”確率”の問題」程度の認識の企業が「人命を預かる”自動車”」を供給する事は、本来あってはならない。

 トヨタを事例として挙げれば、既に「グローバルでのHEV累計販売1810万台」の実績と技術蓄積を有する。勿論、発火事故、感電事故は皆無である。

 乱暴な云い方をすれば、ハイブリッド(HV)車で「内燃機関」と「電動モーター」と「車載電池」を、高度な技術で「複合的に稼動」させる事が出来るのだから、そこから「内燃機関」を取り外すだけで、「発火事故」とは無縁なEV車なんぞは簡単に出来る。

 後の項で触れるトヨタの車載電池開発の進捗と、その技術の先行度合いを見れば、技術は既に十二分に備えた上で、敢えて「EV車を闇雲に市場投入しない」だけなのだという事が理解できるだろう。

●日本は内燃機関を切り札にした全方位で対応

 トヨタは、EV(電動)、HEV(ハイブリッド)、PHEV(プラグインハイブリッド)、FCV(燃料電池)に加え、水素エンジンと全方位で開発を進めている。

 EVシフトの中国や欧州に対して、蓄積した内燃機関技術を、燃料をガソリンや軽油、LPG、LNGといったCO2を排出するものから、水素に転換する事によって、技術的に劣る欧州勢や中国の野望を挫くべきだ。

 これは、日本の電源構成や、自動車産業に関連する550万人の雇用維持にも大いに関係がある。

 彼等は、情勢が不利になると自分が有利になる様な「身勝手なルール変更」を行いがちだ。

 それは、スキージャンプの「スキー板の仕様規制」や、ルマンの「ロータリーエンジン規格」に関するルール変更等を見れば明らかだ。

●トヨタの「電池・カーボンニュートラルに関する説明会」ライブ放映

 9月7日、トヨタはメディア向けに「電池・カーボンニュートラルに関する説明会」を、ライブで実施した。

https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/35971587.html(URLトヨタ許諾)

 もし、日本のEVに関する技術開発に対する先行度合いを詳しく知りたい向きは、上記URLにアクセスすれば、疑問は氷解するだろう。

 万一、全くどうしようも無くなって、「世界中でEV車しか生産・販売が不可能」になっても、日本が他国よりも技術的に優れている事は間違いないし、そんな時代は未来永劫に来る筈は無い。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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