ホンダ、「NSX TypeS」を正式発表 国内では30台限定で22年7月発売

2021年8月31日 11:45

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ホンダが発表したスーパースポーツモデルNSX TypeR(画像:本田技研工業発表資料より)

ホンダが発表したスーパースポーツモデルNSX TypeR(画像:本田技研工業発表資料より)[写真拡大]

 本田技研工業は30日、スーパースポーツモデル「NSX TypeS」を発表した。2022年に生産を終了する現行「NSX」の最終モデルとなり、世界350台限定での販売となる。国内では、9月2日より申込みの受付を開始し、2022年7月に30台限定で発売される予定。

【こちらも】ホンダ「NSX」、2022年12月に生産終了へ

 初代NSXが登場したのは、1990年のことだった。当時、発売されたときの衝撃は、今でも覚えている中高年の読者も多いのではないだろうか。日本に本格的なスーパーカーが発売されることは、たとえ手が出ない金額であっても誇らしく思えた。そんなNSXは、性能に対して価格が安く、世界中を震撼させた。

 伝説的な登場から15年後、燃費・排ガス規制で姿を消すことになった初代だったが、それから約11年後の2016年に2代目が発表された。

 しかしふたを開けてみると、初代ほどの熱狂は見られなかったように感じる。これは国内だけでなく海外でも同じで、新型NSXの価値が世界のスーパーカーと比べて特に秀でた存在ではなかったことが挙げられるだろう。

 NSXは世界のスーパーカーの中でも稀なハイブリッド機構で登場し、しかも価格は2000万円クラスとハイブリッドスーパースポーツとしては破格な安さだった。当時、同じハイブリッドスーパースポーツは、ラ・フェラーリやマクラーレンP1といった、価格が運上クラスのスーパーカーしかなかったことからも、その価格は特別に安かったといえる。

 そんなスーパースポーツNSXも、走行性能やクルマ本来のスーパーなイメージが物足りなかったことが、真新しい機構を備えていても富裕層のスーパーカー好きから見放されたといえるだろう。

 そして低迷していたNSXに生産終了がアナウンスされたわけだが、同時に最終モデルとなる「タイプS」の先行情報が発表され、期待を寄せたファンも少なくない。

 タイプSは、エンジンの燃焼効率向上、高耐熱材ターボの採用による過給圧アップ、冷却性能向上などにより、エンジンのさらなる出力向上を実現。さらにIPU(インテリジェントパワーユニット)のバッテリー出力と使用可能容量を拡大し、システム全体の出力・トルクも大幅に向上した。

 このほか、エクステリアデザインをかなりアグレッシブに変更が加えられているほか、インテリアにもカラーバリエーションの変更などをして、標準モデルとの違いをアピールしている。

 価格は2764万円と、一般には手の届く金額ではないが、それでもまだ世界の名だたるスーパースポーツのハイブリッドより安い。世界限定350台を考えると、きっと瞬く間に売れてしまうのだろう。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

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