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為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、米雇用情勢改善への期待残る
*14:27JST 為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、米雇用情勢改善への期待残る
【今週の概況】
■早期利上げ観測後退でドルは伸び悩む
今週のドル・円は伸び悩み。8月25日発表の7月米耐久財受注速報値は市場予想をやや上回ったことや、ダラス、カンザスシティー、セントルイスの各地区連銀総裁がデルタ株流行による景気への影響は限定的と指摘し、量的緩和策の早期縮小観測が広がったことから、リスク選好的なドル買いが一時活発となった。ドル・円は8月24日に109円41銭まで下落したが、長期金利の反発を意識して110円台前半まで買われる展開となった。
27日のニューヨーク外為市場でドル・円は110円27銭まで上昇後、109円78銭まで下落した。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演を控えて長期金利の上昇に伴うドル買いが一時優勢となったが、パウエル議長の講演で「新型コロナウイルスデルタ株の感染拡大は短期的なリスクとなる可能性がある」との見方が伝えられたことから、長期金利は反落し、ドル売りが優勢となった。パウエル議長は「年内に資産購入縮小を開始することが適切となる可能性がある」と述べたが、「インフレ率の上昇は一時的となる可能性が高い」と指摘し、早期利上げ観測は後退したこともドル売りにつながった。ドル・円は109円84銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:109円41銭−110円27銭。
【来週の見通し】
■ドルは下げ渋りか、米雇用情勢改善への期待残る
来週のドル・円は下げ渋りか。米雇用情勢は改善しつつあり、量的緩和策の年内縮小観測は後退していないことから、リスク回避的なドル売り・円買いがさらに強まる可能性は低いとみられる。量的緩和策の早期縮小観測はやや後退したが、9月第一週に発表される雇用関連の経済指標が堅調な内容なら、リスク回避的なドル売りは抑制される可能性が高いとみられる。
来週は8月ISM製造業景況指数における雇用指数、8月ADP雇用統計、新規失業保険申請件数、8月雇用統計などの経済指標が注目されそうだ。いずれも市場予想を上回る強い内容だった場合、長期金利の上昇を手がかりにドル買いが入りやすい。一方、米国株式市場では、NYダウ平均、S&P500種、ナスダック総合指数など主要株価指数の過去最高値更新が相次いでいる。大幅な値上がりで過熱感も指摘されるが、主要株価指数が堅調に推移した場合、リスク選好的なムードが広がりやすい。株高を意識したリスク選好的な円売りが増えることでドル・円相場は底堅い動きを維持するとみられる。
なお、足元では米国内で新型コロナウイルスデルタ株のまん延が警戒されており、経済正常化への期待はやや後退している。感染者数の増加は懸念要因だが、アフガニスタン情勢の混迷でユーロ、豪ドルなどに対する米ドル買いも観測されており、この影響で米ドル・円相場が円高方向に大きく動く可能性は低いと予想される。
【米・8月ISM製造業景況指数】(9月1日発表予定)
9月1日発表の米8月ISM製造業景況指数は、59.0と、前回の59.5を下回る見通し。ただし、雇用指数が前回実績を上回った場合、量的緩和策の早期縮小観測につながりやすい。
【米8月雇用統計】(9月3日発表予定)
9月3日発表の米8月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+80.0万人、失業率は5.2%の見通し。非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回った場合、量的緩和策の早期縮小観測は後退し、リスク選好的なドル買いは弱まりそうだ。
予想レンジ:109円00銭−111円00銭《FA》
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