ミネベア、超精密&超高品質でのコア事業強化により営業利益倍増を目指す

2021年7月6日 08:51

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 ミネベアミツミは6月30日、子会社を通じてオムロンの半導体工場を買収したと発表した。中期計画で自社の電源IC、タイマーIC、MEMSセンサー、磁気センサー等の自社アナログ半導体製品事業の強化を目指しており、オムロンのアナログ半導体8インチ工場とMEMS製品開発機能を買収した。

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 ミネベアは、終戦後満州飛行機製造の技術者が、1951年に日本初のミニチュアベアリング専門メーカー「日本ミネチュアベアリング」として、東京都で設立。

 1961年に東京証券取引所店頭市場へ上場、1970年に1部市場へ指定替えになった。1971年に米国SKF社のリード工場を買収・ベアリング現地生産を開始。1974年には東証2部のひずみ測定器メーカー新興通信工業を買収、1975年に米国の電子機器メーカーIMC社と東証2部のネジトップメーカー東京螺子製作所を買収、グローバル化、専門多角化を推進した。

 2017年にはミツミ電機を事業統合により完全子会社化し、社名を現在のミネベアミツミへ変更した。

 2021年3月期の連結売上高は9,884億円。事業別の構成比は、機械加工品事業が15.9%、電子機器事業が36.8%、半導体やコンポーネントなどのミツミ事業が36.5%、自動車部品や産業機器部品などのユーシン事業が10.7%、その他事業が0.1%を占めるミネベアの動きを見ていこう。

■前期(2021年3月期)実績と今期見通し

 前期売上高は過去最高を更新する9,884億円(前年比1.0%増)、営業利益は前年よりも75億円減の512億円(同12.8%減)であった。

 営業利益減少の要因としては、HDD市場縮小や航空機需要減により機械加工品事業が87億円、一時的な欧州構造改革費用の計上、自動車部品の不振によりユーシン事業が44億円の減益であった。

 一方、研究開発費など全社調整費用の減少によりその他事業が48億円、半導体デバイスやゲーム機器の好調でミツミ事業が11億円、電子機器事業が1億円の増益であった。

 今期は過去最高収益を更新する売上高1兆円(同1.2%増)、営業利益800億円(同56.4%増)を目指す。

■中期計画(2022年3月期~2024年3月期)による推進戦略

 2024年3月期に売上高1兆2,000億円(対前期比21.4%増)、営業利益1,150億円(同124.6%増)を目指して、コア事業の強化戦略を推進する。

●1.機械加工品事業

 ・ボールベアリング生産体制の月産3億4,500万個体制を確立し、自動車、データセンター向け外販強化。

 ・可動部の結合用ロッドエンドファスナーの体質強化と超高性能ベアリングの精度アップと量産体制構築。

●2.電子機器事業

 ・モーター事業は収益の柱として、電動化、CASE、新生活様式、DX、省人化などすべての製品、領域に対応。高品質化と高付加価値化を推進。

 ・センシングデバイスの車載向け、産業向け拡販。

●3.ミツミ事業

 ・光デバイス事業は、超音波モーターに対応する新型OISの開発強化と生産能力増強。

 ・アナログ半導体事業は、統合したエイブリック、オムロン、ミツミの技術を融合し、開発、生産能力を強化。

●4.ユーシン事業

 ・低価格品から高付加価値品へのシフトと300人の人員削減による構造改革の推進。

 コア事業の強化により、営業利益倍増を目指すミネベアの動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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