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建物総合管理大手:日本管財は創業者会長の実体験が生みの親
日本管財(東証1部)。ビルや住宅の清掃管理を主軸にした、総合管理会社の大手格。詳細は読者各位に調べていただくとして、「バブル崩壊」「失われた20年」「リーマンショック」なども凌ぎ、いまなお順調な収益動向を続けている。前3月期の「10.1%営業増益、2円増配52円配」に続き今期も、「2.2%営業増益(77億円)、2円増配54円配」計画といった具合。
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そもそも日本管財は現会長で創業者の福田武氏の、実体験から1965年に興された。福田氏は学生時代に、建物の清掃会社でアルバイトをした。その時に痛感したのが「1つのビルの清掃・設備管理・警備を別々の会社が請け負っている。相互の連携が取られていないから、ビル管理がうまくいかない。1社で全ての業務を請け負えば、ビル側にとり効率的でうまくいく体制になるはずだ」という思いだった。
いまでこそ「当たり前」だが、当時としては「画期的」。受け入れられた。それが管理建物棟数3000超、私が初めて取材した2015年5月時点で掲げていた『売上高1000億円超の実現』(20年3月期)の礎となっている。
不動産管理業界に明るい記者の言を借りれば、「実績が、契約更新時に日本管財にとって対象案件拡充のかっこうの契機となっている。また地域再開発時の顧客確保の強みとなっている」。
ところで今後の一段の業容拡大施策として注力しているのが、PFI事業。一口で言えば民の力を活かした公共事業。春号の会社四季報の業績欄の見出しは【堅調続く】、材料欄の見出しは【PFI】。後者に関しては、「病院、学校など公共施設、PFI関連を拡大。リモート管理を含め自治体向け包括管理もセミナー開催で営業推進」と記されている。
実は「1からの事業」ではない。2000年に新潟県・上越市のPFI事業を受託。熊谷組と共同出資で上越シビックサービスを設立以来、着々と実績を積み重ねてきている。参議院新規議員会館の整備事業なども代表例の1つ。今後一層力を注いでいくというわけだ。
ところで先の記者は日本管財の強さを、こう指摘した。「全国には数多くの不動産管理会社がある。参入障壁が低いからだ。だが多くの業者のスタッフは、アルバイトやパート。対して日本管財のスタッフは、正社員が主体。プライドを持ちモチベーションを高めるためだ。それが結局、清掃・管理・警備を展開するうえで『情報収集の緻密化』となり好循環を生み出している」。
現地法人連携し進出したオーストラリアを橋頭保、マンション管理を中心とした管理業務の展開も今後注力する方針だという。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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