EV電池交換の世界市場、2030年には8億5260万ドルに拡大へ グローバルインフォメーション調査

2021年6月25日 08:15

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 市場調査会社のグローバルインフォメーションは23日、「EV電池交換市場の成長機会・成長予測(2021-2030年)」に関する調査レポートを発表した。電気自動車(EV)の電池交換の世界市場は、2020年の1億ドルから、2030年には8億5,260万ドル(約946億円)に拡大し、10年間の年平均成長率は、24.4%に達すると予測している。

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 EVのバッテリー交換は、交換ステーションにおいて、放電したバッテリーをフル充電されたものと交換することで、充電を待つ時間を大幅に短縮するサービスだ。

 国内ではなじみが薄いが、すでに中国ではバッテリー交換ビジネスの普及が加速している。それを踏まえて中国では、交換時の安全性を確保するために国家基準も発表している。

 現在、EVの懸念事項は、航続距離と充電時間、そして電欠である。特に冬場の大雪による交通マヒで立ち往生した災害時などに電欠となれば、EVに乗っている人にとっては命にもかかわる。

 これが、バッテリー交換タイプに今後変われば、電欠になってもバッテリー交換で大雪による立ち往生を乗り切ることが可能だ。しかも交換時間は10分以内で可能なため、電欠となっても交換業者が到着できるインフラが整えば安心だ。

 また、交換ステーションもこれまでのガソリンスタンドのような敷地面積を必要としないため、設置場所のスペース確保のハードルは低い。このことから走行距離に対する不安を解消するための迅速なソリューションとなるだろう。

 バッテリー交換型のメリットはこれだけではない。EVのコストはバッテリーが押し上げているが、交換型にすれば、サブスクリプションや使用料に応じて支払う方法にもできるため、EVの購入費用を安くできるだろう。

 現在では、EV用の充電設備が多いとは決して言えず、しかも充電時間が長いことがネックとなっている。一方で新型EVが各メーカーから相次いで発売されており、ユーザーの注目度も上がっている。

 ただ、インフラが整っているとは言えない現状では、普及は大きく見込めないだろう。今後メーカーから、バッテリー交換型のEVが発売され、交換ステーションがガソリンスタンド並みに普及すれば、EVの販売にも大きな影響を与えることだろう。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

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