コロナ関連の破たん1546件に 正常化までは遠く 東京商工リサーチ

2021年6月13日 07:21

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 東京商工リサーチは11日、コロナ禍の影響で経営破たんした国内事業者数が1週間で28件増え、累計で1,546件(負債1,000万円以上)に達したと発表。6月は11日時点で71件に達し、過去最多並みのペース。日本におけるワクチン接種の速度が早まり、経済活動の正常化へ期待が高まる。一方、緊急事態宣言を20日に解除すると、オリンピック・パラリンピック期間中に再発令を出さざるを得ない可能性があるとの推計もあり、厳しい状況はしばらく続く。

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 東京都は12日、都内で新たに確認されたコロナ感染者数が467人だったと発表。5月14日より前週の同じ曜日を下回っていたが、29日ぶりに上回った。重症患者数は5人減り、新たに8人の死亡が確認された。12日までの1週間における新規感染者数の1日当り平均は390人で、前週の440人や前々週の571人から減少傾向が続く。

 大阪府は12日、同様に126人が確認されたと発表。また、新たに12人の死亡が確認された。吉村知事は12日、出演したテレビ番組にて、第4波の影響で医療現場が逼迫し適切な医療を受けられなかった患者が死亡した事例を挙げ、すべて自分に責任があると語った。また、第5波が起こる可能性は高いものの、それを起こさせないことが重要との考えを示した。

 集団免疫によるコロナ禍からの正常化を目指す中、日本でのワクチン接種のスピードが上がっている。政府の発表によれば、8日には発表ベースで初めて100万回に到達し、10日までの累計は2,140万回になった。政府が目標とする1日100万回ペースとなれば、10月から11月にかけ希望するすべての人が2回の接種を終える。一方、オリンピック開幕日の7月23日時点での接種率は3割程度と予想され、イギリスなどの分析を踏まえると、感染抑制には不十分な水準という。

 日本経済研究センターは11日、緊急事態宣言を20日に完全解除した場合、オリンピック・パラリンピック期間中に再発令を出さざるを得ない可能性があるとの推計を発表した。本推計は、8月中に高齢者の7割がワクチンの接種を終える前提。一方、まん延防止等重点措置(まん防)と同等の措置を7月後半まで続ければ再発令のリスクは小さくなるという。

 新型コロナウイルスの世界における累計感染者数は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば日本時間12日午後6時時点で1億7,528万人超、死者数は378万人を超えた。国別の最多は米国の3,343万人超、次いでインドが2,935万人、ブラジルが1,729万人。以下、フランス579万人、トルコ531万人、ロシア512万人、イギリス456万人と続く。

 かかる状況下、東京商工リサーチは新型コロナウイルスに関連する経営破たん事業者数が、11日時点で1,546件に達したと発表。破たん企業が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで1万7,948人。

 破たんの発生は、引き続き、緊急事態宣言やまん防の対象地域における飲食関連、建設業、アパレル関連(製造と小売)、宿泊業に集中する。ワクチン接種の速度が上がり正常化への期待が高まるものの、1日100万回の接種を続けた場合でも経済活動が元に戻るにはまだしばらく時間がかかる。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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