高温環境でも生産性が高いイネを開発 光合成機能の増強で 東大

2021年4月30日 07:53

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ルビコス(Rubisco)とアクチベース(RCA)の二重形質転換体イネの植物成長量。25度と40度において75日間栽培した後に、地上部の乾燥重量を解析した。二重形質転換体イネの地上部乾燥重量は、野生型イネに比べて、25度では同程度であったが、40度では有意に高かった。(画像: 東京大学の発表資料より)

ルビコス(Rubisco)とアクチベース(RCA)の二重形質転換体イネの植物成長量。25度と40度において75日間栽培した後に、地上部の乾燥重量を解析した。二重形質転換体イネの地上部乾燥重量は、野生型イネに比べて、25度では同程度であったが、40度では有意に高かった。(画像: 東京大学の発表資料より)[写真拡大]

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 地球温暖化や爆発的な人口増加が進む現在では、安定した食糧の供給は人類にとって非常に重要な課題となっている。食料の中でもイネは温暖化によって収量が大きく減少すると報告されており、高温環境に強いイネを作ることが急務となっている。東京大学の研究グループは、イネの光合成に関する酵素に着目した品種改良の研究開発を進めてきたが、28日、高温環境における光合成機能が増強され、生産性が向上したイネの開発に成功したと発表した。

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 イネを含めた作物の高温環境下での生産性低下は、光合成システムの障害が原因であることが知られている。特に重要な要因として、ルビスコと呼ばれる酵素が不活化することによる、光合成機能低下が挙げられる。また、植物には不活化したルビスコを再活性化するアクチベースという酵素も存在するが、高温環境ではアクチベースも不活化してしまう。

 これまでの研究ではアクチベース量を増やしたイネの品種改良が試みられてきた。しかし、アクチベース量が増えるにしたがって肝心のルビスコ量が低減してしまい、光合成機能が低下するという課題があった。それぞれの酵素に関連する遺伝子が互いに干渉し合うことが、両方の酵素量を同時に増やせない原因とされてきた。

 そこで今回の研究では、互いに干渉し合うことのない、異なる植物由来の遺伝子を導入することで両方の酵素を増やすアプローチが採られた。アクチベース量に関連する遺伝子としてトウモロコシ由来のものを使用することで、ルビスコとアクチベースの両方を増強することに成功した。トウモロコシ由来のアクチベースはイネ由来のものと比較して高温耐性が高いという利点もある。

 このような品種改良の技術で高温環境での収量低下や品質低下が回避できれば、食糧問題の解決に大きく貢献することが可能になる。また、光合成のメカニズムについても解明が進むことで二酸化炭素削減につながることも期待される。

 今回の研究成果は28日付の「Plant, Cell &Environment」誌オンライン版に掲載されている。

関連キーワード東京大学地球温暖化遺伝子

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