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ビットコイン急落から始まっている? 2021年のsell in mayと対策 後編
そもそも「アノマリー」という言葉の直訳は、「異常」である。天文学や量子力学、生物学で使用される場合には「ある方法や理論からみて異常、説明できない事象」という意味合いをもつが、相場におけるアノマリーは「理由が明確ではない、値動きの経験則」という説明がふさわしいだろう。
【前回は】ビットコイン急落から始まっている? 2021年のsell in mayと対策 前編
「sell in may(セルインメイ、5月に売れ)」というアノマリーには続きがあり、「sell in May and go away, But remember to come back in September(5月に売り逃げろ、しかし9月に戻ってくことを忘れるな)」が全文である。
確かに過去のデータを分析してみると、9月ではないが、10月のアメリカのダウ平均株価と翌年5月との騰落率を比較した場合、過去30年間において、バブル崩壊時とコロナ禍以外の年のほとんどでプラスとなっていることが分かる。
この値動きの理由として挙げられるのは、ヘッジファンドの45日ルール(決算期日の45日前までがファンド解約期限であることから、以降は解約した顧客への支払いのため、売り圧力が強まるということ)や、4月の買い支え要因(アメリカの確定申告の還付金や、日本国内企業の年度末換金処理によるリバウンド円安など)であるが、どれもが決定的な裏付けとはならない。だからこそ、アノマリーとして格言化しているのである。
そして、ビットコインがここ数日間で大きく下落していることは紛れも無い事実である。そもそも仮想通貨市場がバブルとなっているのは、コロナ禍による大規模金融緩和の副作用であり、その相場で利益確定売りが出ているとすれば、前編で述べたテーパリングのシナリオを先読みしている可能性があるかもしれない。
さらに、新たな変異株が、インドのコロナウイルス感染者の激増につながっているともいわれており、この変異株に対してはワクチン効果が不明とのことだ。そこに「sell in may」が頭をよぎったとしても、人々はリスクオンの立場を取り続けることができるのだろうか。
バブルの崩壊は金融不安のパンデミックであることは間違いない。さらに、ゴールデンウィーク中の日本は、国内企業だけではなく、世界最大規模の機関投資家とされている日銀やGPIFなどの買い支えも期待できない「隙が生まれる時期」であり、ヘッジファンドの仕掛け売りが行われやすい環境だ。
今年のゴールデンウィークは緊急事態宣言下でもあることから、海外旅行などの長期間のバカンスを楽しむ人は皆無であろう。しかしながら、急落のリスクに備えるためには、所持しているポジションにロスカットを設定しておくことが非常に重要であり、唯一の対策でもある。
「ストップあれば憂いなし」、ご自身が所持している株価やリスクオンのポジションについては、ゴールデンウィーク前に今一度、確認しておくことをおすすめしたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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