アニコムHDに見るペット保険市場の現状

2021年3月1日 16:54

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アニコムが展開するペット共生賃貸住宅「アニコフローラ東中野」(画像: アニコム ホールディングスの発表資料より)

アニコムが展開するペット共生賃貸住宅「アニコフローラ東中野」(画像: アニコム ホールディングスの発表資料より)[写真拡大]

 「ペットの時代」という観点からこれまでにも投稿してきた。改めて矢野経済研究所の調査データを見ても「ペット関連市場」は「2019年度で約1兆5700億円、2020年度にはさらに1兆6257億円にまで拡大する見通し」と市場規模の拡がりが示唆されている。市場の中味が気になった。矢野経済は「ペット関連市場」を「生体(ペット売買)」「専用フーズ」「専門用品」「その他」としている。そして、その他の中に「ペット保険」が含まれている。

【こちらも】ペットは家族 好調のペット関連市場を支える、人とペットに優しいサービス

 ペット保険業は儲かるのか、を調べてみたいと思った。唯一の上場企業:アニコムホールディングス(アニコムHD)の現状を俎上に載せた。

 創業者社長の小森伸昭氏は東京日動火災の出身。2000年にアニコムHDを立ち上げている。現在の主力商品は「アニコムどうぶつ健保」。足元の収益動向は前期の「15.7%の経常収益(売上高)増、3.9%の経常利益減」に対し今3月期は、「10%の増収(456憶円)、32.4%の経常増益(29億円)」計画。第3四半期時点の計画に対する進捗率は、「78%、75%」と上々。

 非上場のライバル企業も増え始めている。が、アニコムHDの強みをアナリストに聞くとこんな点が浮上してきた。

★アニコムどうぶつ健保に対応する全国の動物病院は、昨年12月末で6500院。動物病院全ての5割以上を占めている。その大きな要因は「窓口精算システム」。従来は治療費を総額払い、後日保険金を請求するシステムが主で手間を要したが同システムならその場で全ての決済が可能。

★19年度の保有契約件数は、81万6254件と14年から5年間で27万1439件増えている。「対象となる動物数を増やしていったのもその大きな要因」とされる。16年からはリス・ハムスター・カメ・トカゲが加わり、19年にはチンチラや蛇も対象となり現在15種の動物が保険対象となっている。

★今期上半期の新規契約獲得件数は、前年同期比11.5%増と過去最高の10万件超えとなった。ペットは、癒し系。「新型コロナウイルス下で“蜜を避けるため、不要不急の外出を控える”流れが、フォローの風になった」ともされる。

 小森社長は、「ペットは心の発電所。世の中がギスギスしている時代が進む中で、人々の心の平常を取り戻す心の発電所」と発信している。そして先達は既に、次の1歩を踏み出している。「アニコムどうぶつ健保」に18年には「どうぶつ健活」の無料付帯を始めた。一口で言うと、「ペットの腸内フローラの測定+健康診断」。予防分野にも歩を進めたのである。

 当家にも、満6歳の老猫がいる。保険加入年齢に「限り」があるのか、問い合わせてみたいと思う・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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