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半導体不足に悩む自動車業界、斜め読み
自動車業界の「半導体不足問題」解消が、喫緊の課題となっている。トヨタ・VW・GMの世界の3大メーカーに(車の)生産制限を余儀なくし、1月29日にはこんなニュースも伝えられた。「ホンダが(三重県の)鈴鹿製作所を計5日間停止へ」。ホンダもこの間生産制限を強いられてきたが、とうとう工場の稼働停止に追い込まれたというのだ。半導体不足は、世界の自動車業界を大きく揺さぶっている。
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皮肉な話でもある。新型コロナウイルス禍の影響で2020年春先に、新車販売が世界的に大きく落ち込んだ。だが夏場以降、米中の2大市場の需要が持ち直し傾向に入ったのを契機に、自動車各社は生産状況を「ブレーキ」から「アクセル」に踏みかえた。これが半導体需給の逼迫を生み出した。
急速に浮上したのが、台湾の半導体受託製造会社:台湾積体電路製造(TSMC)。「中国が台湾を中国の一部と強調する理由の1つは、TSMCが最先端のコンピューターチップを製造する能力を有しているがゆえ」と解説されたりもする。
また、こんな指摘も聞かれる。「アップルがアイフォンでスマートフォンの世界を牛耳れたのも、ファブレス(生産工場を持たない)のビジネスモデルを確立できたためだ。ソフトの設計・開発に力を注ぎ、生産は台湾のフォックスコン(シャープ再建を牽引する鴻海精密工業の子会社)に委託したからだ。台湾経済を引っ張ってきた、優れた受託生産会社を活用した結果だ」。
こうした流れが、「米国バイデン新政権の対中戦略が、牽制の手綱を緩めない論拠」とすらされている。
いま日米欧の自動車各社は、TSMCとの提携強化を最大の課題としている。「TSMCの工場を自国に誘致」とする動きが強まっている。米国政府はアリゾナ州に約1兆2900億円を投じTSMCと連携し半導体工場を設立する。日本でも「誘致の流れが水面下で進んでいる」ともされている。
読者諸氏は、「何故、日本の電子メーカーは半導体の製造を積極化し、自動車メーカーへの供給サプライチェーンを整備しないのか」という素朴な疑問を持たれるのではないか。かつて世界の半導体市場でトップ10入りしていた電子部品メーカーは、「自動車向け半導体の単価は割安。利幅は薄いが安全性確保を前提に、要求してくる要点が多い。要は商売にならない」と打ち明けた。
私は昨年11月27日の企業・産業欄に『世界の半導体市場を支える「日ノ丸」半導体部材企業』、今年1月20日の同欄に『「日ノ丸」半導体部材企業の実力派、レーザーテックの軌跡と凄さ』を投稿した。内容はお読みいただくとして、TSMCの日本工場が実現した場合に「部材企業」の存在感は一段と高まると捉えるが如何。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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