中国の火星探査機「天問1号」、2月に火星軌道到達へ

2021年1月7日 16:43

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 中国新華社通信(日本語版)は1月4日、中国の火星探査機「天問1号」が2月に火星軌道へ到達する予定であることを報じた。天問1号は中国初の火星探査機であり、2020年7月23日に打ち上げられ、すでに宇宙空間を航行した距離は4億kmを超えたという。

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 1月3日時点で宇宙航行日数は163日を数え、火星から約830万kmの宇宙空間を航行中である。飛行距離4億kmに対して、天問1号は地球から1億3千万kmの位置にあり、計算が合わないと思う読者もいるかもしれないので補足説明をしておく。

 どんな宇宙船であっても、積載燃料には限りがあり、できるだけ燃料を無駄遣いしないような航路が採用される。つまり、地球から火星を最短距離の一直線で結ぶような航路をとれば、周辺天体の引力による航行の妨害を受けることになり、燃料の無駄遣いが避けられない。そのため周辺天体の引力をうまく利用し(これをスイングバイという)、それらを航行のプラスに作用するような航路が選ばれるのだ。

 また、打ち上げから現在までの間に地球は太陽の周りを公転しているため、探査機との距離もその影響で微妙に変化する(なお地球と火星との距離は、太陽を公転するそれぞれの惑星の位置関係に応じて、最小5500万kmから最大4億kmまでの間を推移している)。その結果、実際は4億kmも飛行しながら、まだ地球からは1億3千万kmしか離れていないというような状況が起こりうるのだ。

 とはいえ、163日間で4億kmもの移動をこなすためには、秒速28kmというとてつもない速度で航行し続けなければならない。それだけにとどまらず、天問1号は火星周回軌道上で様々な観測を行い、太陽系で最大の衝突盆地であるユートピア平原南部に着陸し、ローバーを用いて科学的操作を行う予定なのである。この3つすべてが成功すれば、世界初の快挙になるとこのミッションに携わる中国の科学者は主張する。

 これまでに人類が実施した火星探査ミッションは46回を数えるが、成功したのは半分以下の17例に過ぎない。最近の中国の宇宙開発技術は発展が目覚ましく、アメリカもロシアもヨーロッパも日本もうかうかしてはいられない。1960年代は旧ソ連とアメリカの月面着陸競争で火花が散らされたが、2020年代は火星を舞台に、世界各国間での激しい競争が展開されつつある。それを目の当たりにできる我々はある意味幸せなのかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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