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相場の未来を予測する信用取引残高とコロナバブルの天井 後編
もっとも、個別の銘柄についての信用取引残高を見ただけでは、株式市場全体の相場観を知ることはできないだろう。ここで重要となるのが、東京と名古屋の2市場についてまとめられた「2市場信用取引残高」である。
【前回は】相場の未来を予測する信用取引残高とコロナバブルの天井 前編
「2市場信用取引残高」は定期的にインターネット上に公開されており、12月4日における信用売り残高は9,042億円、信用買い残高は2兆5,028億円となっている。まさに買い優勢のバブルといえることが分かるが、その残高に伴う「評価損益率」にも注目したい。
「評価損益率」とは、信用買いをしている投資家がどれぐらいの損益を出しているかについて、その割合が算出されているものであり、この割合がマイナス15~20%より下がると相場が底入れ、マイナス3%程度まで持ち直すと相場の天井とされているのが一般的だ。
ここ数年間の「評価損益率」を見てみると、リーマンショックの2008年10月近辺、コロナショックの2020年3月近辺を除けば、ほぼマイナス15~20%のところで下げ止まっていることが分かる。
では、現在の数値はといえば、12月4日における「評価損益率」はマイナス12.37%であった。現実と乖離しているかのようなリスクオン相場ではあるが、相場の天井とされているマイナス3%まで、まだまだ上げ余地があるとも見て取れることが分かる。
相場は必ず上げ下げを繰り返すものであり、過熱感が頂点に達した時、それがバブルとなって急落へとつながるという歴史を繰り返してきた。レガシーな経験則だけではなく、このような客観的なデータを元に相場の過熱感を確認することも、売買のタイミングを計る上では非常に重要といえよう。
最後に、大荒れとなったアメリカ大統領選挙の現状についてお伝えしておく。トランプ大統領は選挙前より、選挙結果によっては訴訟とする構えを見せていただけではなく、その時に備えて自らの考えに近い保守系の判事が多数となるような体制を作ったが、最後の望みをかけた連邦最高裁への訴訟が12月11日、あえなく却下された。
確固たる証拠がないのであれば訴えが退けられることはいうまでもなく、アメリカの司法の独立性が保たれたといえる一方で、いよいよトランプ大統領の敗北が色濃くなってきた。
日に日にデモの規模は小さくなってはいるものの、この結果を受けて両支持者の衝突も起こっており、未だに予断を許さない。2021年1月6日の選挙人投票結果開票の後、トランプ大統領がどのような言動をとるかについても、注目しておくべきであろう。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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