はやぶさ2、12月6日未明に豪州へカプセル着地 豪国立大学が協力

2020年12月5日 09:23

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はやぶさ2のサンプル回収のリハーサル風景 (c) Trevor Ireland、オーストラリア国立大学

はやぶさ2のサンプル回収のリハーサル風景 (c) Trevor Ireland、オーストラリア国立大学[写真拡大]

 いよいよJAXAの「はやぶさ2」が12月6日未明(日本時間)、オーストラリアの砂漠に小惑星リュウグウで採取したサンプルを送り届ける。「はやぶさ2」本体は、カプセル分離後に地球を再度離れて軌道の修正を行う予定だが、地上に送り届けられるカプセルには、生命誕生の謎を明らかにできるかもしれない貴重なサンプルが封入されているのだ。

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 このサンプルリターンに関する情報が、オーストラリア国立大学のホームページで報じられている。これによれば、小惑星リュウグウのサンプルは現地時間の6日朝、南オーストラリア州ウーメラの奥地にある砂漠に送り届けられる予定だ。また「はやぶさ2」の科学チームに所属するオーストラリア国立大学のスペースロック専門家Trevor Ireland教授が、ウーメラで小惑星サンプルの到着に備え待機している。

 はやぶさ2が採取した小惑星リュウグウのサンプルは、50年以上前にオーストラリア・ビクトリア州マーチソン近くに落下した隕石と非常に似ている。このマーチソン隕石には、単純なアミノ酸と豊富な水が含まれていることが判明しているため、リュウグウからのサンプルの分析によって、生命誕生の源となったアミノ酸の由来に関する謎を解明できる可能性があるのだ。

 リュウグウは太陽系が誕生した時点での状態がそのまま保存されており、地球上の生命の起源となったアミノ酸の由来となった物質が、リュウグウからのサンプルの中に認められるかもしれない。またマーチソン隕石で欠落していたアミノ酸に関する情報を、リュウグウのサンプルによってもたらされた情報によって補完できれば、生命の由来に関する謎を解くための仮説をより完全なものにできる。

 アミノ酸は、地球上において、炭素や酸素、水素、窒素などの元素が何らかの化学反応によって組み合わされ、偶然生み出されたものなのか。もしくは、最初からアミノ酸の基本となる構造を持った分子が地球誕生以前の原始太陽系には存在していたのか。この疑問に対して、リュウグウからのサンプルは重要なヒントをもたらしてくれるだろうが、現在の科学者の大勢は前者よりも後者を支持している。

 だがそれが正しいと判明したとしても、アミノ酸のような複雑な分子が、太陽系誕生以前にどこでどのようにして生み出されたのかという新たな謎が浮上してくる。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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