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日経新聞の報道によると、NTTが5000億円超の社債を発行する見通しであるという。
日経によれば、1度に発行される額としては国内最大規模となり、NTTドコモを完全子会社にするための資金調達や、高速通信規格「5G」の整備に充てるとみられるという。償還期間は3~10年の間で期間の異なるものが数本発行される見通し。海外投資家向けとして、外貨建て社債の発行も検討しているという。
現在、コロナ禍における資金調達方法として、世界的にも社債が注目されている。
実際、コロナ禍の5月頃には世界の社債発行額が過去最高を更新した。4月時点の発行額は6314億ドル(68兆5000億円)。コロナ禍でも安定した資金調達の確保を目指し、調達コストも抑えることができる社債を活用している。
社債は、投資商品の中では「ローリスクローリターン」に分類され、投資初心者でも購入しやすいとされている。社債の発行目的は、国債と同じく「資金調達」であるが、何のための資金調達なのか、社債の商品名に組み込んでいる場合も多い。
例えば、「オリコ学費ソーシャルボンド」(オリエントコーポレーション)、「大和証券未来応援ボンド」(大和証券)、「ハプネスモール債」(イオンモール)といった形だ。
近年は、既に浸透している個人向け国債や社債以外でも、比較的新しい債券投資として、さまざまな目的をもった債券が発行されている。
その1つに、環境資源対策として「グリーンボンド」がある。最近では三菱重工がグリーンボンドの発行を発表したほか、東京ガス、東急不動産なども既に発行している。
グリーンボンドは企業が発行する社債だけでなく、東京都や長野県が自治体単位で発行している。企業や自治体では、SDGs達成へ向けた取り組みも含めてグリーンボンドを発行する動きもある。
このほか、上記一覧にも挙げた「ソーシャルボンド」は社会問題解決のための資金調達を目的としている。オリエントコーポレーションのほか、東京大学は10月にソーシャルボンドとして大学債を発行している。
三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)は、2018年に国内初の外貨建てグリーンボンドを発行。それに引き続き、償還期間10年のソーシャルボンドも発行した経緯がある。
MUFGのように、企業が発行する債券は1つではない。今回のドコモによる社債発行も、まずは国内で円の調達をし、外貨建て社債の発行を通じて海外投資家からの資金調達をはかる見込みである。
円と外貨によりそれぞれ発行することで、通貨リスクやカントリーリスクを分散できる。各債券の発行時期や償還時期をずらすことで、時間のリスクも分散させることが可能である。
さまざまな工夫をもって債券を発行することで、投資家の選択肢も広がる。同時に、企業や団体としては安定して資金を調達できる。双方にとって良い動きとなるのではないだろうか。(記事:大野 翠・記事一覧を見る)
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