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そこで現在、再び注目され始めたのは燃料電池自動車(FCV: Fuel Cell Vehicle)だ。水素を酸素と反応させて発電し、水と熱を作り出す仕組みだ。水を自然エネルギーで発電した電気により分解すると、燃料電池(FC:Fuel Cell)で使える水素(グリーン水素)が得られるのでCO2排出をしないことになる。
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さらに、水素とCO2(炭酸ガス)を反応させてメタンガス(e-gas)を作り出すと、石油を燃やして発生したCO2を再び石油に返すことになる。そのe-gasをこれまでのガソリンエンジンで燃料として使うことが出来れば、エンジンの需要が蘇り雇用を維持できて、温暖化を止める切り札となり得る。
また、自然エネルギーでの発電で問題だったのは、「気候により安定した発電が出来ない」ことと「従来のバッテリーではエネルギー密度が低く蓄電が出来ない」ことだ。しかし、水素で蓄積すれば、保存がきくことと、発電そのものも燃料電池(FC:Fuel Cell)やe-gasエンジンで行うと、安定した電力供給が出来ることとなる。
加えてe-gasは、FCに使う99.99%の純粋水素に比較すると取り扱いが易しいため、従来のガソリンスタンドの小改造で取り扱いが出来ることとなり、インフラ整備に多額の投資が必要なくなってくる。そうすると、これまでのインフラであったガソリンスタンド業界の雇用も確保できることとなるのだ。
残る問題は、「グリーン水素」と呼ばれる電気分解で得られる水素製造を誰が始めるのかだ。初期投資が膨大になると見られるこのミッションを国家の政策として取り上げるべき時であろう。
■自動車のエキスパートがいない日本学術会議
Motor-Fan.jp 『これでいいのか? 日本学術会議の問題を自動車から考えてみる。「日本最高の学識経験者集団は自動車を相手にしていない!」』によると、
❝内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の自動車内燃機関部門に設置された「革新的燃焼技術」プロジェクトで、ラボ(研究室)段階とはいえ「熱効率50%」実現したスーパーリーンバーンエンジンプロジェクトに関わった大学教授や研究者諸氏は、日本学術会議会員にも連携会員にも入っていない。自動運転を運動力学側から研究している方、自動運転のためのAI(人工知能)を開発している方も入っていない。❞
これでは、日本がZE(炭素バランス:ゼロエミッション)を目指すとしても、その頭脳集団をどの様にして支援すればよいのであろうか?2050年ZEを目指すとしながら、どのような社会を作り上げるのか、具体的方策がまだ見えてこない。必要な学術研究促進は公に説明し、補助金を出すなど政策の取りようがあるはずだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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