天の川銀河取り囲む「銀河ハロー」はディスク状の塊 超小型衛星が明らかに 米大学の研究

2020年10月22日 07:50

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天の川銀河を取り囲む銀河ハローを観測する超小型人工衛星ハローサット (c) NanoRacks/NASA

天の川銀河を取り囲む銀河ハローを観測する超小型人工衛星ハローサット (c) NanoRacks/NASA[写真拡大]

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 天の川銀河を取り囲む高温ガスからなる「ハロー」。米航空宇宙局(NASA)は19日、銀河ハローがディスク状の塊として分布していることが判明したと発表した。

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■小さな「トースター」が銀河ハローを解明

 銀河ハローは銀河間の空間と銀河とのあいだで物質が循環する「媒体(銀河周辺物質)」としての役割を果たしている。天の川銀河を取り囲む銀河ハローは130億年前にはすでに、銀河を形成するための「容器」の役割を果たしていたという。

 NASAから支援を受けた米アイオワ大学の研究グループは、「ハローサット」と呼ばれるトースター程のサイズのキューブサットを活用し、天の川銀河を取り囲む銀河ハローの観測を実施した。

 超小型人工衛星であるキューブサットは低コストで科学調査を実施できるため、大学の研究機関や宇宙ベンチャー企業なども着手可能だ。NASAだけでなく、宇宙航空研究開発機構(JAXA)もまた、キューブサットを使った実証実験を民間の研究機関や企業から公募している。ハローサットはNASA天体物理学部門が資金援助した最初のキューブサットだという。

 広視野でX線観測可能なハローサットは、2018年5月に国際宇宙ステーション(ISS)から打ち上げられ、銀河ハローを広域で調査している。

 今回、天の川銀河を取り囲む銀河ハローが、ディスク状の塊であることがハローサットにより判明した。これは、一様に銀河周辺物質が分布しているという研究者の予想を裏切る結果だという。星が形成される場所では、X線の放射が強いため、今回の観測結果は銀河ハローに存在する銀河周辺物質は星形成と関係があることを示唆するという。

■「行方不明の」物質を探索する超小型衛星

 ハローサットの目的は、銀河ハローから「行方不明の」物質を見つけ出すことだ。宇宙に存在する全物質の15%を占めるのが「バリオン」と呼ばれる通常の物質だ。残る物質は、目に見えないダークマターやダークエネルギー等が大半を占める。だが、存在するはずのバリオンのすべてが発見されてはいない。こうした行方不明の物質がどこに存在するかは謎だった。

 銀河ハローの解明は銀河の形成や進化だけでなく、水素やヘリウム等の軽元素の「核」から、重元素からなる星を伴う膨張宇宙へと発展したかの理解にもつながる。また失われた物質が銀河ハローに存在する可能性もある。

 今回の観測では、天の川銀河の何倍もの大きさをもつ銀河ハローの全容を解明することはできなかった。だが銀河ハローが外側に「伸びている」とすれば、失われた物質が潜んでいる可能性がある。今後はほかのX線観測データと照合し、銀河ハローの拡大を検証するとしている。

 研究の詳細は、英天文学誌Nature Astronomyに19日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

関連キーワードNASAダークマター暗黒物質ダークエネルギー宇宙航空研究開発機構(JAXA)国際宇宙ステーション(ISS)

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