アルテミス計画の月面着陸用モジュール、独ブレーメンに到着 ESA

2020年10月15日 08:29

印刷

ESAの月面着陸用サービスモジュールの一部 (c) Airbus

ESAの月面着陸用サービスモジュールの一部 (c) Airbus[写真拡大]

  • ESAの月面着陸用サービスモジュールの一部 (c) Airbus
  • ゲートウェイを構成する6つのモジュール ESAが報じた月面着陸用サービスモジュールは図の一番右端のパート (c) NASA

 欧州宇宙機関(ESA)は13日、月面着陸用サービスモジュールの基本構造が、イタリア・トリノにあるタレスアレーニアスペースの製造現場から、ドイツ・ブレーメンにあるエアバス統合ホールに到着したと発表した。

【こちらも】日米、月面有人探査のアルテミス計画への協力で正式合意

 アルテミス計画は、NASAが中心となり、国際宇宙ステーション(ISS)計画に参加する各国の宇宙機関が協力し、2024年までに人間による月面着陸を目指すものだ。2019年3月5日に、ISSの次のプロジェクトとして、月面周回宇宙ステーション「ゲートウェイ(Gateway)」を開発する方針に関する共同声明が発表されている。

 今回アナウンスされたESAによる月面着陸用サービスモジュールは、「ゲートウェイ」の一部となり、月面着陸への旅行中に最大4人の宇宙飛行士に電力を供給し、生き続けるためのコンポーネントが搭載される。11カ国のハードウェアがこのモジュールに統合するために、ブレーメンのエアバスに出荷されることになっている。

 「ゲートウェイ」は、ISS参加各国が合計6つのモジュールを分担して開発を進めており、もちろん日本のJAXAもその一翼を担っている。アルテミスは月面着陸と探査が主目的だが、これと併せて、近い将来の人間による火星探査計画を推進するための様々なノウハウの蓄積も視野に入っている。ISSもアルテミスも最終目標は火星にあり、そのゴールに到達するための橋頭堡の役割を担っているプロジェクトなのだ。

 月をゲートウェイが周回している限り、月面着陸は長期間にわたり継続的に複数回実施が可能なことも見逃せない。これはつまり月面に人間の居住が可能な基地を建設し、最終的には移住までも視野に入れた壮大な計画につながるはじめの一歩なのである。

 2021年には、アルテミスIによる大型ロケット(SLSロケット)と「オリオン宇宙船」を地球から発射し、月を回って帰還させる無人飛行試験が計画されている。また2022年にはアルテミスIIによるSLSロケットとオリオン宇宙船の有人飛行試験が計画されている。

 さらに2024年までに複数回にわたってゲートウェイを構成する各モジュールが打ち上げられ、アルテミスIIIの最終目標である月面着陸を目指す。つまりあとたった4年で我々は人類が再び月面に立つ姿を目の当たりにできる日がやってくるのだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事